2025年03月21日

何も始まってないし、何も終わってない(「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」評)

毒を食らわば皿まで。
アムロとシャアの物語の完結編、
リアタイ以来の再見。

そのときと同じことを思った。
これ、「脱出」の剣バトルの続きを、
15分やっただけでしょ?

以下ネタバレ。


アムロとシャアの邂逅は2回。

初手はクエスを攫う時。
2回目はラストバトル。

たったそれだけ。

そして抽象論。
高校生か大学生の議論レベルだった。
結局、「私は信じる」レベルの話。

所詮は人間なんて信用できないシャアの方が主張としては強くて、
それに反論する側のアムロの根拠が弱いので、
見てる方もアムロの勝ちとは思えていない。

Zでニュータイプの話をしてなかったせいか、
ようやくニュータイプの話になると思いきや、
単なる口喧嘩でおしまい。

毎度毎度子供に希望を託す、
同じオチはやめてけれ。


Z以降、世論というか、一般の人々はどう思ってんのかが、
ほとんど描かれていないのが気になった。
ネオジオンのイデオロギーに対して、
地球人はどう考えているのか、
スペースノイドはどう考えているのかが、
よくわからない。
だから、彼らが勝手に思想を戦わせているだけの、
個人戦になってしまった。

なので、彼らの議論が、大学生の下宿みたいになってたんだろう。

シャアの前半での演説を聞いてジークジオンを叫んでた人々は、
どう思ったんだ?
そんなことを描ききれていない。


結局、「認識の拡大、人類の進化」は、
宇宙でしかできないのか?
じゃあ、「一度宇宙にいくべき」と、
ハサウェイ以外も考えなかったのだろうか?

今回も、Z新訳と同じ、
大人の議論の中に、
勝手な子供たちがいるという同工異曲で、
腹が立つ。

俺たちはアムロとシャアの決着を見たい。
なんなら七番勝負だけでもいいんだよ。
全部ノイズになるわ。

シャアの女の籠絡が、
小学生の妄想から高校生の妄想になってたくらいは進化したけど、
もうちょっとなんかあるやろ。

ここでシャアが魅力的な男に描かれてないから、
ずっと上滑りしている。



でね、
この人脚本書くのが下手なんだなって思ったよ。

説明台詞がすごく下手。
状況をわからせるのがすごく下手。
台詞も下手。

ああ、俺が書き直したいくらいだ。
俺が上手いとはいわないけど、
もう少しマシにリライトできるわ。


結局、カツとサラの物語+ララァと同じ、間に女を挟む物語、
というだけなんよな。やってること。

2時間にしては話薄すぎないですか?

富野に人間を描くことはできないんだな。
人間を愛してない気がする。
自分は愛してるのかな。
自分を慕ってくれる女しか好きじゃないんじゃないか。

人間社会をもう少し学んではどうだろう。



アクシズの落下を止めるために、
敵も味方もなくMSで止めるシーンは、
リアタイと同じく鳥肌がたった。
でもそれだけだな。
ファンネル同士のバトルも新味がなくて、
サイコフレームは単なるオーラバトルにしかなってなくて、
幻魔大戦→北斗の拳から進化してないと感じた。

僕らがはじめてモビルスーツのバトルを見て夢中になったような、
その先の何かは、ついに見ることができなかった。
グフの横なぎの剣を沈んでかわし、
下から両手を叩き切るような、
ゾクゾクするバトルを超えるものは、
Z以降どこにもなかったね。

戦場に慣れすぎたのかな。
命の切り合いって忘れてたんじゃないか。

だから、なぜ命を賭けるのかが物語だというのに。


シャアの動機はわかる。命を賭ける意味もわかる。
だけどアムロに動機がない。
ララァの仇打ちだけ?
クエスを足そうとしたけど足しきれてなかったね。

「阻止する」しか動機がなくて、
だから弱かったんだろう。



脚本において基本が存在する。

思想を戦わせたいのならば、
分かりやすい対立点をつくることだ。
そして一通り主張が理解できたら、
口角泡を飛ばすののしりあいではなく、
別のバトルをやることだ。
勝利した人の主張が正しいと、
自動的に観客は判定する。

その仕組みを知らずに、ただ口喧嘩してただけだったね。
単なるレスバじゃねえかよ。


ガンダムの「つづき」はレスバだった。
くだらぬ結末だ。

シャアを捕まえて軍事裁判にかけるクライマックスとか、
なぜやらないのだろう?
それを書けるほどの脚本家がいなかったからだろうか。



Zも逆シャアもなかった。
僕にとってはそれだけだ、
ということを、改めて確認できてよかった。

シャアはバズーカを撃った後行方不明だし、
アムロは帰るところがあったところで終わりだし、
和平が結ばれた0080であの物語はおしまいなのだ。
posted by おおおかとしひこ at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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