2025年08月17日

いいアイデアは、単純な形をしている

パッと理解できること。
そしてもっと良いことは、
それを理解した人が他人に伝播しやすいこと。


あなたのアイデアを説明してくれ。
どんなに素晴らしいアイデアだとしても、
単純な形に還元した時に、
その良さが失われるならば、
いいアイデアではない。


たとえばドラえもんは、
「未来の国から来たロボットが、
未来の道具で助けてくれる」
がアイデアだ。

この文字数にして、ワクワク感は半端ない。

「未来の道具で助けてくれる」まで凝縮してもいいが、
なんで?になるので、
「未来の国から来たロボットが」があったほうが分かりやすい。
ただし、
「ぐうたらなのび太を、未来の子孫が憂えて、
真人間にするため」などのような動機は不要だ。
コアアイデアに付帯するものであり、
そこは芯ではない。

同様に、「ガキ大将のジャイアン、腰巾着のスネ夫、
賢いしずかちゃんがいて、毎回のび太は困ったことがあって…」
なんてこともいらない。
アイデアの芯の部分ではないからだ。

アイデアとは、
こうした具体を捨象して、
いかにコアを抽出できるか、にかかっている。


そしてそれが新しく、おもしろければ、
人はそれを見にくる。

万博は「世界を変える未来を展示する」がコアアイデアである。
「実際どんなものか見に行こう」となるわけ。
(実際できてるかはしらない)

これが見せ物の本質だと思う。


抽象的だが、新しく面白そうなアイデア。
そしてその具体的実装を見にいく。

両方が必要だ。
ダラダラと長くて、イマイチ良さが分からず、
しかも見たことのあるようなアイデアや、
看板だおれなどは、
ダメな見せ物であるわけだ。


そういえば東京五輪は、
元々福島復興五輪というアイデアであった。
それが実装はなんだったんだろう。
そういえば五輪も万博も大電通さまだな。
ずいぶん見せ物が下手になったのではないだろうか。



アイデアが単純な形をしていると、
口コミが走りやすい。
「今度ドラえもんってアニメがはじまるんだぜ!」
「どんなの?」
「未来から来たロボットが、未来の道具で助けてくれるんだ!」
「なにそれおもしろそう」
ってなるわけだね。

これが、コンセプトがしっかりしてるってことだ。

ドラえもんが青だぬきであることや、
のび太がぐうたらであることな、
ドラえもんが押し入れで寝ることや、
しずかちゃんのお風呂に毎回ワープすることは、
ディテール実装にすぎないわけ。

こうした、
コアのアイデアとディテールの実装の関係を、
名作について勉強すると良い。

○○という映画について、
その本質的なコアアイデアはなんなのか。
そのディテールはどうなのか。


コアのアイデアはテーマであるとは限らない。
たとえばスターウォーズ(ep4)のテーマは、
「若者がアイデンティティを見つける」だが、
コンセプトはスペースオペラだ。
「SFの世界観で、中世騎士物語をやる」
だと思う。

このコンセプトならば別のディテール実装もありえる。
みんな甲冑をつけたり、
馬が出てくるパターンもあり得るよね。
たまさか、スターウォーズは、
アイデンティティの定まらない若者、
フォース、ライトセイバー、
宇宙海賊ハンソロ&チューバッカ、
C3POとR2D2の凸凹コンビ、
ストームトルーパーやダースベイダー、
スターファイターやXウイングやデススターといった、
ディテール実装になっただけだ。
(フォースは、アーサー王物語における魔術師マーリン的な要素から、
思いつくことは可能だ。まあ元ネタは気功だけど)

ディテールを集めて、
コンセプトを煮詰める手もある。
ダースベイダーやフォースやライトセイバーを思いついて、
「そうか、俺はSF騎士物語がやりたいのか」と気づき、
そのように全体を組み直すこともできる。

そうすると、エクスカリバー的な存在、
姫的な存在、マーリン的な存在を補完することも可能だね。



コアのアイデアがシンプルだと、
スタッフに伝わりやすいことも大きい。
特に製作委員会なる素人出資集団に、
プレゼンしやすいこともある。

「新幹線に爆弾が仕掛けられ、
時速100キロを割ると爆発するのだ」は、
「新幹線大爆破」のコアアイデアだが、
これだけでサスペンスのワクワクが出てくるよね。

あと実装は何線にするか、
どういう時刻表があるのか、
関わる人たちは誰か、なんてのを詰めていけば良い。

コアのアイデアがシンプルであればあるほど、
実装は自由になる。
それもいいところだ。



あなたの物語は、
どのようなアイデアまで還元されるだろうか?

それを他人から聞いた時「おもしろそう」と思うかな?

「南極探検隊が見つけたのは古代生物の化石。
どの生物史にもない、まるで宇宙人のような…
だがそれは化石ではなく、冬眠状態だったのだ…!」は、
クトゥルフ神話の中のひとつ、
「狂気の山脈にて」のコアアイデアだ。

1936年発表、実に100年近く前の小説だが、
まったく古びてない、いいアイデアだと思う。
遊星からの物体Xは、これをパクってたんだなー、
とよくわかる。

まあ、遊星からの物体Xは、
「誰がXに取り憑かれてるのか」という犯人探しのシーンが異常に面白いので、
コアアイデアから発展させて、
オリジナルを獲得しているけどね。


こんな風にして、
コアアイデアを上手に抽出すると、
物語の背骨が見えてくる。

自分のでも、他人のでも、どんどんやって、
単純な形に煮詰めると良い。
posted by おおおかとしひこ at 09:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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