2025年05月09日

【薙刀式】「ん」ではじまる関西弁

「ん」は音韻論的にはややこしい音で、
とりあえず日本語には5つの「ん」があるとされる。
発音が綺麗な好き語りのやつ貼っとくか: https://m.youtube.com/watch?v=j1MoHGJU8dw&t=5s&pp=ygUM5aW944GN6Kqe44KK

「ん」の地域差もありえるなー。
https://x.com/catfist/status/1920691246864974312

せっかくなので、
関西弁の「ん」を考えてみるか。


関西弁には、いくつか「ん」で始まる言葉がある。
思いつくまま、列挙してみる。

んで。 んでや。 んでな。

それで。 それでや。 それでな。
に該当する、接続詞。次に繋がらないので間投詞ぐらいか。

んで、んで?
のように、疑問形で次を促す使い方もある。
スピード感やリズム感を大事にする関西弁らしいね。


んまっ!

美味い!の口語形。もとは「うんまい!」「うんまっ!」
だったのだろうが、
感動を伝える言葉は短くなりがちなので、
「うまっ!」だと普通なのでそれ以上を意味する言葉になってると思う。
たまに漫画で「んめェ…」としみじみ酒や飯を食うセリフがあるが、
これを標準語に落とし込んだ感じだろうか。


んなアホな んなわけあるかい

漫才でもふつうにみる。「そんな」の省略形。


んやねん

「なんやねん」の頭の「な」が落ちたもの。
ヤンキー漫画でたまに「んだ?テメェ…」
ってやつがあるが、これは関東弁かな。
関西弁だと「んやねんおまえ」って表記することになるな。
小さい「ん」がほしい。
たまにヤンキー漫画で「なンだ?」などの表記があるが、
これが小さい「ん」の代わりかねえ。


んー、どうしよっかなー

アクセント上げ気味。ん↑ー、とでも表記するか。
これは単に「私は迷ってます」という意味以上に、
「なんかオモロイこと付加して」
「これだけでは納得いきづらいので、安くなるとか、
納得いける何かを提示してください」の意味。
心の中では「んー↓、いまいち」と思ってるときだね。

関西の可愛い子がこれを使う時は、
一発笑わせればゴーがでます。




たとえば二つに折れるアイスがあるとして、
自分が半分取って残り半分を相手にあげるとき。
これもアクセントあがる。
ん↑、って感じ。
「あげます、どうぞお取りください」と翻訳できるか。
標準語口語にある?
ん↑って渡して、ん↓って受け取る関係。

ハイ、は聞いたことあるけど、
ん↑、ん↓という短いやり取りは、西にしかないかなー。
サークルの男女がこれをやったら、付き合ってるね。
親しい人同士でしかやらないやつだ。




うなづきの「うん」の短縮形。
んー。と表記した方が近いかもだが、
発音自体は単音だな。

ん、ん。と2回うなづくこともある。
文字表記では意味不明なので、「うん、うん」と書き直すことが多い。




おんJの猛虎弁などでは「ををん」と表記されがちなやつ。
偉そうに「おう」というやつの音便形で、
「おおん」と発音して、
ちょっと島田紳助みたいに口を歪ませて、
へんな「ををん」に変形すればいいか。
口は「お」の形で「ん」を発音する感じだ。
偉そうなやつが子分に詰める文脈を想像されたい。
で、これが短く省略されて、
「をん」「ん」ぐらいの短さにこの発音が入る。
発音記号を作った方がいいくらいだね。
「お」と「ん」の中間音?

スト6配信者のどぐらがよくこれを使ってる。
偉そうにする時、偉そうにするのを茶化したネタのとき、
ドヤしたいときなどに使う。


とりあえず適当に思いついたものをあげてみた。
やはり関西弁は、標準語の文字表記で足りてないのでは?
と思う。
微妙なニュアンスが全部落ちてゆく。


実のところ、現代関西弁は、
明治以来の言文一致運動から外されていて、
現代語文字表記のカバーする50音表記法で、
足りてないように思われる。

有名なチャウチャウ構文も、
ちゃうのアクセントで全部変わるからねえ。
一応引用するか。

 「あれチャウチャウちゃう?」
 「チャウチャウちゃうんちゃう、ちゃうちゃう」
 「チャウチャウちゃうん」
 「ちゃうちゃうチャウチャウちゃう」
 「チャウチャウちゃうん」
 「ちゃうちゃう」

一応標準語訳をしておくと、

 「あれはチャウチャウ犬ではないか?」
 「チャウチャウではないと思われる。違うよ」
 「チャウチャウではないのかねえ」
 「違う違う。チャウチャウではない」
 「チャウチャウだと思うんだけど……」
 「違う違う」

これはネイティブでない限り、
有名な東大入試のthatが4回続く和訳より難しいかもな。笑
アクセント記号があれば簡単かもね。


音韻言語を文字化するネットスラング上で、
関西弁はようやく猛虎弁として実体を得たのではなかろうか。

そもそも「なんでやねん」の、ふたつの「ん」の発音は違う。
あとの方が小さく、横に開いていう感じ。
「なんでやね」に近いが「ね」ではない感じ。
そのへんの「口のひねり方」で、
奈良なのか大阪なのか京都なのか神戸なのか、
大体推定できるので、関西弁というくくりでは、
もはやないのだけれど。

しかし実際に文字化してみると、
僕は東京に来たせいで、
なんと豊かな言語を捨ててしまっているのだろう、
と切なくなってくるな。


こういうのは関西の大学の文系で議論されてるんやろか。
僕は理系なのでさっぱり知らん。
posted by おおおかとしひこ at 17:15| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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