2025年09月12日

障害は、本質を試しに来る

中盤を書くのが難しいのは、
障害物競走のように考えてしまっているからではないか。

中盤はたしかに障害を次々にクリアしていくパートである。
しかしその障害の質は、
慎重に選定されているべきだ。


あんなトラブルが起こっている、
それを解決する、なるほど、
こんどはこんなトラブルだ、
これを解決する。

…で?
次に3回目のトラブルが起こっても、
あんまり興味が持てないのではないかと思う。
なぜか。
「ランダムにトラブルが起こっている」
ように見えるからではないか。

じゃあトラブルAとBを関連付けて、
連鎖反応のように組めばいいのか。
それはひとつのテクニックだけど、
3回目のトラブルCにあんまり興味を持てないことは、
あまり関係がない。

トラブル、障害には必要な要素があると思う。
それは、
「テーマと反対の障害かどうか」
ということだ。


友情をテーマとしたい時に、
水道管が破裂するトラブルを解決しても、
テーマと関係ないわけ。
水のトラブル8000円、暮らし安心クラシアンになることと、
テーマが関係ないわけだ。
さらにそのあと家賃滞納が起こって、
それを解決してもつまらないわけ。
どんなにとんちを効かせたトラブル解決でも、
退屈はやってくる。
なぜか。
「友情と関係ないから」だ。

水道トラブルが、友情の本質と関係している時のみ、
これは「ストーリー上意味のある障害」になりえる。

たとえば(無茶振りだけど)、
このトラブルの乗り越え方で友情を示すとか、
もしトラブルが解決できない場合深刻なヒビが入るとかだ。
水道管が破裂したことで階下の友人に迷惑をかけ、
喧嘩になるとか、
家賃滞納のため彼にカネを借りて返さないとか、
友情絡みならば、テーマに関わってくるのである。

障害はつまり、テーマを揺さぶるようにつくらなければならない。


テーマが友情ならば、
その価値を問うようなアンチである必要がある。
たとえば、
彼女か友情かという二択は、
どっちが大事なんだよ、と迫る意味で、
的確な障害になる。
ベタ過ぎでつまらないのを避けるために、
別の障害を考えることになるだろうが。

そして障害というものは、どんどん激しくなってくる。
つまりそれは、深刻になるだけではなく、
より真の価値を揺さぶるようになるべきだ。

人生において裏切った方が得だろ、というものや、
誰も信じるべきではない、みたいなものなど、
激しくテーマの価値を揺さぶれないものは、
障害ではないと思うわけ。


障害はつまり、主人公に行動を強いる何かである。
それを乗り越える活躍をみんなは期待する。
ただそれが、
ハードル走のように、単にカッコよく飛び越えるものを持ってきても、
つまらないのである。
テーマと関係ないからだ。

むしろ障害とは、「全て」テーマに関係しなければならない。
(サブテーマでも良い)
そのレベルがどんどん上がっていって、
一番深いところに関わらない限り、
「本筋と外れた障害」にしかならないのだ。


中盤を書くのが下手な人は、
テーマと関係ない障害を持ってきてるのでは?
だから何個かの障害超えは描けても、
どんどん詰まらなくなるのでは?

どんどんテーマに肉薄した、
よりつらい障害を並べるのだ。
だから、必然性のあるストーリーを見ている気になる。

ランダムな障害物競走を見てるだけだったら、
ランダムなストーリーを見てるだけになる。
必然性のないものを見てる気分になる。
だからつまらなくなるのだ。

ゲームにおける、
1面は砂漠、2面はジャングル、3面は南極、4面は火山、
みたいに「気分の変わる逆境ステージを用意する」
だけでは、
映画の障害にはならない。
それが、テーマのアンチテーゼになっていて、
それを打破することがテーマを示すことになる、
ように作らなければならない。

そしてメインテーマに関係するのは最後の障害、
つまりクライマックスであるから、
いかに「本題に少しずつ近づいているぞ」
という障害物ルートをつくれるか、
が中盤の設計なのだ。


強さがテーマのバトルものならば、
雑魚→最初の歯ごたえのある敵→中ボス
→四天王→ラスボス、
などにするものだろう。
途中を心の弱さや友情強さなどの変形をもってきても、
途中に水道管トラブルは持ってこない。
いや、水道管トラブルを握力だけで解決した、なら、
強さというテーマのひとつの序盤エピソードにはなりそう。



その障害を超えることで、
何を示せるのか?
その逆算で、障害は考えられるべきではないだろうか。
posted by おおおかとしひこ at 07:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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