2025年07月07日

変化と時制

Twitterから。
> 「変化」を説明せよと言われたら、変化の前後の状況を説明するのは必須だと思うのだが、変化の後の状態を単に記述して満足する人が割と多い

ああ、興味深いね。

変化に時制がないから、
変化edのものを説明して満足しちゃうのね。


変化前、変化中、変化後。

変化にはこの3状態がある。
「変化」でどれを指すかは決まっていない。

変身シーンがハイライトになる場合もあるから、
変化中を指す場合もあるし、
本郷猛が変身し終えた仮面ライダーをもって、
変化後だけで変化を表現してしまうこともあろう。

しかし実態は、
3状態の遷移記述をしなければ、
変化を説明したことにならないのはあきらかだ。


さて、
つまらない日常が、突如非日常へ変化するのが、
物語であった。

そしてこれが元の日常に戻る(主人公が戻す)のが、
物語でもある。
非日常へ投げっぱなしには決してならない。

最初の日常に完全に戻るとは限らないが、
なにかしらの新しい状態を、
新しい日常としてこれからも生きてゆく、
という平穏で終わるはずである。
(ハッピーエンドの場合)

で、このとき、
主人公は最初の状態から、
なにかしらの経験を経て、成長している。
これを変化と呼ぶ。


物語とは、
周囲が、日常→非日常へ変化して、
これを主人公が日常へと戻して、
その分主人公が変化するもの、
と定義しても良い。

それは仮面ライダーのような変身ではなくて、
主人公の内面の成長の形で表現されるわけ。


この、変化をとらえるときに、
変化後だけをもって考えてても埒が明かないのだ。

つまり、
日常の5状態、主人公の3状態について、
考える必要がある。

日常、非日常への変化中、非日常、
日常への変化中、日常。

初期主人公、変化中主人公、変化後主人公。

この8つの関係性を考え出して、
ようやく物語の背骨ということになる。


主人公の変化は一気には起こらない。
人間そんなにすぐには変わらない。
対応の範囲ではなく、
永遠に変わる変化を描くからね。

だから、変化中の主人公は、
複数の状態がありえるよね。
今こう思ってる、次はこう思ってる、
そのうち決定的なことがあり、
そして最後になるわけだ。

決定的なことはクライマックスだろう。
もうここでこれ以上戻らないと、
主人公にはわかる。
これまでの自分に永遠に別れを告げて、
新しい自分になるわけだ。
この自発的生まれ変わりが、主人公の変化であり、
カタルシスである。

おそらくボトムポイント(半分から3/4の間にある、
最も暗く、落ち込んだ部分)と関係している。
これがあったから、もう迷わない、
になるはずだ。


この、8状態をもって、
物語の変化は記述されると思う。

それを扱えないと、
変化後の「めでたしめでたし」だけをもって、
変化と呼んでしまう誤りを犯すだろう。

たとえば、
タイトルに「父」みたいなどうでもいいタイトル
(最後まで見れば意味がわかるが、
見る前はなんの引きもないもの)
をつけてしまう。

予告編で、本質のネタバレをしてしまう。
たとえば角川版のいけちゃんとぼくの予告は最悪だ。
だから僕は予告のディレクターズカット版をつくった。



変化は複数の状態を行き来すること。

それらの違いが大きければ大きいほど、
変化は大きいということであり、
その変化がリアリティがあって、
乗れて、感情移入できるものほど、
名作ということになる。

あなたの物語の変化をリストアップしたまえ。
それはどうなってるか、把握しなさい。
posted by おおおかとしひこ at 07:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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