2025年07月07日

時系列を入れ替えても、何も生まれなかった(「去年マリエンバートで」評)

アランレネの毒を食らわば皿まで。
未見なので潰しておくかーというモチベで拝見。

やっぱね、時系列を崩しても何も生まれないわ。

意味のない話なので、ネタバレありまくりで進行。


物語の歴史上、
いろんな時系列を崩す実験が生まれたと思うよ。
時間は我々の経験する感覚とは異なるとか、
「羅生門」のように、
体験する人によって解釈は異なるとか。
夢は時系列にならないとか。

一方フィルムはただ1本だけ、
一方向に進む。
これを崩したら新しいことができるのでは?
ということを発想するのはわかる。

おそらく、
言語においてもそれは実験されたであろう。
詩とか小説とかで。
音楽は、たとえばプログレで実験されたよね。

だけど結果からいえば、
1本線でおもしろいやつに勝てないという、
シンプルな結論ではないだろうか?


wikiによれば、
4本の時系列をまぜこぜにしたのだそうだ。
「羅生門」の影響を受けていて、
三者三様の言い分の異なるさまを越えようとして、
4本のストーリーラインをつくったのかもね。

でもぶっちゃけどうでもよくなる。

解読するための手がかりがないからだ。
そして、是非解読したいと思えるほどの求心力が、
ないからだと思う。


絵はとても綺麗だけどさ、
音楽はよくわからんし、
おっさんがフランス語でブツブツ言ってるだけだし、
ヒロインはポーズは美しいが、
ぶっちゃけ好みじゃない。
なんでこのオッサンが口説こうとしてるのか、
動機もさっぱりわからない。

旦那らしき男がいるが、
例のゲームで勝てないことと、
口説けないことは何か関係があるのかよ。
たぶん必勝法あるよね。
そのゲームで勝てないことと、
嫁を寝取ることとは因果関係がない。
ぶっちゃけなくても、話は変わらないし。

そう、つまり、
物語に必要なパーツが、
必要十分関係になってない。
破綻してるんだよね。

壊れた機能不全を見て、
何がおもろいんや?


当時としては新しかったのだろうか?
「世界一難解といわれる映画」らしい。
まあ、難解でしょ。
だって解なしだと僕は思うよ。
だって「解かせる」ように出来てないもの。

何が起こって、なぜそれが起こって、
誰が何をしたのか、
完全に分かったからといって、
大して面白そうな話じゃないもの。


つまり。

時系列を崩した作品は、
毎回毎回、
脚本家や監督の、
「ちゃんと時系列をつくったらつまらない話」を、
「ごまかして作った気になってる」
ときにつくられるのでは?

なぜなら、
自主映画をやってるとき、
そうだったから。

実力のないやつが、
「深い」ものを作った気になってるだけでは?
読解力のないやつが、
「ううむ深い」と、鑑賞してる気になってるだけでは?

つまり、
これはなんのためにつくったの?




旦那のいる女を寝取るだけの話でしょ?
バレて殺されようが、
逃げようとして柵から落ちて死のうが、
2人で逃げようが、
どっちゃでも関係ないわ。
どんなにオシャレに撮っても、
三文ストーリーではないか。

それがそのままだとバレるので、
高尚ふりかけをかけただけよね?

そこに何か意味があるなら、
それは解釈できる。
でもあの彫像に、意味があったとは思えない。

庭園に人々が立ってる絵、
影を地面に描いたらしい。
だから何?
その絵に何かすごい意味があるなら、
頑張って作ったね、になるけど、
ただその絵が描きたかっただけよね?



我々は21世紀の、
極力無駄を排した、
それがそこにある意味を追求した、
意味のあるものをつくっている。
だから、
意味のないものが、ぬるく見えてしまう。

つまりストーリーテリングは、
この時代から進歩した。
人類は、もっと意味を突き詰めて、
1本線にするように進歩した。

そう考えると、
それが出来ずに、
試行錯誤した時代もあったのね、
と生ぬるい目で見ることができる。


色々な感想を見ると、
実は1年前に、女は浮気が旦那にバレて殺されていて、
男は柵から落ちて死んでいて、
2人が約束した1年後、
幽霊として再会して(死んだことに気づいてすらいない)、
約束通り駆け落ちした、
という解釈を見つけた。
だから男は迷路をグルグル回ってるし、
女の記憶も曖昧なのだと。

美しいが、男は旦那と例のゲームしてるしなー。
(それが1年前と解釈をしてもよいが)

いや、だからといっても、
彫像の話は意味ないし。
仮に正解だとしても、
で?でしかない。
そんな話面白いですかと。
ストレートにそんな話作った方が、
よっぽど人間の業を深く描けるしねえ。

ゴースツ・イン・マリエンバート
という悲恋もので十分じゃんね。

それを名作に仕上げる脚本力のない人が、
時系列パズルで誤魔化しただけの、
小品、というか小物に思えた。

これがそのまま「ジュテーム、ジュテーム」に、
繋がってるのね。
まあ、系譜としては理解できる。
今風にいえば、単なる逆張り野郎だね。
posted by おおおかとしひこ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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