いや、そんなキーボードはないんですよ。
物理のキーボードに大西配列は依存しないので。
大西配列が魂、キーボードが肉体、
といえばわかりやすいかな。
「大西配列が入ってるキーボード」は物理的に存在するが、
それは「○○配列が入ってるキーボード」にもなるんだよ。
だから、
「大西配列だけしか対応しないキーボード」は存在しない。
入れ替えられるので。
キーボードは中身を入れ替えられる。
中にマイコンが入ってるので、
そのプログラムを書き換えればいいからだ。
キーボードは、キーキャップの印字を検知して、
その字を出す道具ではない。
キーキャップの印字はプラスチックに印刷してるだけで、
「このキーを押したらこの文字が出る」指示をしているのは、
中のマイコンのプログラム(ファームウェア)だ。
そしてそのマイコンを動かすために給電が必要で、
USBは信号のやり取り+給電ケーブルであり、
無線ならば電池で給電している。
このことは僕もキーボードを自作するまで知らなかったことだ。
「キーボードの印字はなんの意味も持たない」
と自キの人はいうけれど、
「それは書き換えられるので」ということだ。
中で設定したのを忘れないように、
メモしてある、程度にしか印字は使わずに、
つまり覚えているなら無刻印でも良いし、
そもそも見ないのでなんでもよい。
間違っててもメチャクチャでもいいんだよね。
で、見た目でオシャレだから、qwertyキーキャップを使ってるにすぎない。
もしABC順でオシャレキーキャップがあれば、
それを使うだろうね。
キーボードの中のマイコンの、
「これを押したらこの字が出る」定義プログラムを、
ファームウェア(ないしキーマップ)という。
ファームウェアはキーマップを含む、
物理信号規定なども定義するので、
文字の部分だけを正確にはキーマップと呼ぶ。
で、キーマップはプログラムなので、
ABC順に並べようが、
QWE順にならべようが、
AIUEOと並べようが自由だ。
AABBと2個並べてもよい。足りなくなるけど。
一々並べ順を指定しても面倒なので、
ある並べ方に名前がついている。
それを「論理配列」という。
大西配列はそのひとつで、qwerty、dvorak、colemak、
Eucalyn、Tomisukeなどもある。
この場合の論理は、論理的の論理ではなく、
プログラムで組んだ二値論理回路、デジタル回路のことだ。
回路は配線を伴い、配線を変えることが回路を変えることだけど、
プログラムは配線変更なく回路の機能を変えられるわけだ。
なので、
一台のキーボードには、
好きな論理配列をプログラムできる。
ファームウェアのキーマップに書き込むことでだ。
市販の多くのキーボードは、
qwerty配列に固定されている。
コストダウンのためだね。
プログラマブルなマイコンを搭載するより、
固定回路を焼く方が安いし、
プログラムを組める人が少数派なので、
需要もないわけ。
この市場論理によって、世の中にはqwertyキーボードが、
99.9%くらいだろう。
だから、キーボードと論理配列が、
1対1対応してると勘違いするのだと思われる。
プログラマブルなキーボードは、
自作キーボードが切り拓いた。
マイコンを載せて自分でプログラムを組み、
はんだ付けして回路を自作するわけ。
あまりにも便利だから広まったんだけど、
流石に敷居が高いので、
プログラマブルなだけのキーボードを、
中国のKeychronなどがQシリーズとして出している。
これは自作キーボードの精華を、
手軽に楽しめるように設計されたものだ。
(キースイッチ交換、キーキャップ交換、キーマップのプログラムのみ対応。
もっとも、これだけでも自由度はメチャクチャ高い。
だけど使ってるうちに痒いところに手が届かなくなって、
沼に入るのだ)
なので、
プログラマブルなキーマップを持つキーボードならば、
大西配列には全然できるのである。
さて、論理配列にはもっとある。
親指シフト、薙刀式などのカナ配列だ。
これは狭義のキーマップ(キーコード入れ替え)では実現できず、
もう少し深いプログラミングが必要だ。
(同時打鍵判定、レイヤー化、マクロ、
IMEオンオフによる英語、カナの切り替え機能など)
なので、これらを実現するには、
QMKファームウェアによるcプログラミングが必須になってくる。
ここまでやってる人は日本で100人いるまい。
だけど技術的には全自作キーボードを、
親指シフトや薙刀式に変更可能である。
もうひとつ、論理配列と混同されるのが物理配列だ。
たとえば文字部分は3×10の配置だけど、
これを5×6にしたり、1×30にしたり、
斜めにしたり円形に配置したり、
キーの大きさや間隔をそれぞれ変えたり、
3D上に配置してもいいはずだ。
電気回路さえつながればね。
30個のスイッチを、マトリクス配線できればいいだけなので、
配置は平面だろうが立体だろうが自由なはずだ。
物理配列には、
タイプライターの形を未だに継承している左ロウスタッガード、
それをハノ字にしたAlice、左右分割などがある。
手の形に沿ったものがエルゴノミクス的に正しいはずだが、
異形のものとして怖がられる傾向にあるね。
これも自作キーボード界隈では、
今日も何がいいのか議論が戦わされている。
ちなみに、
親指シフトは、
分割スペースキー(なおかつ高いキー)という物理配列を前提とした、
同時打鍵判定の必要な、レイヤードなカナの、
論理配列である。
分割スペースを、スペースキーと変換キーに定義すれば、
ふつうのキーボード上でもプログラムを走らせれば実現可能だ
(エミュレータ)。
なので、物理配列ごと自作キーボードでつくれば、
自作親指シフトは可能である。
実際、日本で何人かつくっている。
ただし自作キーボードの知識、cプログラミングの知識必須なので、
広まらないだけの話。
薙刀式は、30のアルファベットキー+スペースキーさえあれば、
どんなキーボードでも走る論理配列なので、
キーボードを選ばなくてよい。
なので、
自作キーボードやエミュレータによる実装で、
使っている人がたくさんいる。
(いうて1万人もいない。1000人いるかな?
いないかもしれない。
ネットで宣言してる人で、僕の把握してるので数百名)
これらの基礎知識、専門用語を知らないと、
「大西配列キーボード」などと、
すべての概念をいっしょくたにしてしまうのだろう。
いや、まあ「勉強して出直せ」というのは簡単なのだが、
解説するとこれだけ字数を取るから大変なのよね。
だけど僕は、
論理配列の中でも、とくに日本語を書くのに適した「新配列」を、
推奨しているので、
こうした解説は世の中に発信するべきと考えたのであった。
というわけで、
みんな、プログラマブルなキーボードの中に、
新配列を入れようぜ!
別にそこに入れなくても、
エミュレータを走らせたり、
IMEのローマ字定義の中に入れられるものもあるぞ!
qwertyローマ字は、
日本語を書き表すのに、
効率がいいから採用されたのではない。
昔の何も考えてない人が採用して、
なし崩しに広まって、
今更変更できない負の遺産である。
日本語をちゃんと、効率良く書きたい人は、
qwertyを捨てて、新配列をやりなはれ。
今のところ「このボタンを押せば瞬時に○○配列になる」
という便利なものはないが、
それに近いことはいくつかのソフトをダウンロードして設定すれば可能だ。
2025年08月13日
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