2025年08月14日

【薙刀式】親指シフト以降に発明されたもの

確かに親指シフトは80年代当時最先端の日本語入力システムだったけど、
以降に発明されたものを考えると、
現在最強とはいえないと思う。


親指シフト以降、
主に個人の開発者によって、
配列は研究されてきた。
配列は金にならない。しかし便利な道具として、
個人レベルのボランティアで開発されている。

彼らが発見、発明したものたちを列挙する。
このうち最後の連文節変換のみ、
公式にMS-IMEとして実装されている。


1. N-gramを前提とした配字
2. 片手アルペジオ
3. 連続シフト
4. 親指同時打鍵以外のシフト方法
5. 濁音の排他的配置
6. 半濁音、小書きの同置
7. 拗音、外来音の同置
8. BSやエンターや機能キーの入れ込み
9. ロウスタッガード以外の物理配列
10. 連文節変換



1. N-gramを前提とした配字

親指シフトは1gramしか設計に反映されていない。
2gram、つまりカナ2連接をどのように運指するべきかを、
設計にいれていない。
3, 4…も同じくだ。

日本語は5カナ、7カナをひとかたまりとしやすい言語である。
その基本パーツについて考えられていない。

たとえば人称代名詞や指示代名詞。
ぼく、わたし、あなた、きみ、かれ、かのじょ、かれら。
あれ、それ、これ、どれ。

あるいは、
なのである、られている、そのときに、
など、日本語でよく使う言い回しを、
運指しやすい並びにするべき、
まで考慮し切れていない。

以下同様に、親指シフトにないものを挙げてゆく。


2. 片手アルペジオ

片手連続運指のうち、
たとえば隣の指でタランと連続して打てる組み合わせ。
たとえばJK、JI、JO、MKなど。
これらに連接しやすい2カナを置けば、
高速で楽になる。
飛鳥、新下駄、薙刀式がとくに重視している。

Ngramをどう打ちやすくするか、とも関係するファクターだ。

なお、親指シフトの時代は、
左右交互打鍵が速いと思われていた節がある。
ところが大岡の調査によって、
30キー×30キーの900連接を実際に測定したところ、
右アルペジオ>左アルペジオ>左→右>右→左
>右手連続悪運指>左手連続悪運指
であることが確認され、
左右交互神話は否定されている。



3. 連続シフト

親指シフトは左右の親指キーと同時打鍵することで2種のシフトをかけられるが、
1回きりしかかけられないので、
シフト文字が連続する場合、
何度も打たなければならない。
連続シフトは押しっぱなしでシフトが複数にかけられる方法だ。
飛鳥、新JIS、薙刀式などが採用している。

裏面だけで連接する連接が作れるのが強みだ。


4. 親指同時打鍵以外のシフト方法

親指シフト以前は、
小指による通常シフトしか存在しなかった。
そこに親指シフトが、
「親指キーとの同時打鍵」を持ち込んだ。
このことによってキーボードはレイヤードになり、
狭い範囲で多数の文字を同居させることに成功する。

だが、親指で/同時打鍵のみがベストとは限らない。


以下のようなものが提案され、使われている。

SandS……スペースキーをシフトキーと兼ねる。
 いわば親指での通常シフト。
親指モデファイア……親指キーにctrl、winなどを兼ねさせる。
 無変換、変換キー、あるいは自作キーボードでの親指クラスタ。

親指同時連続シフト……親指キーに同時だけでなく、
 連続シフトを認める。飛鳥配列。
中指同時打鍵……DまたはKと同時押ししたときにシフト。
 下駄配列、新下駄配列。
薬指同時打鍵……SまたはL、同。

中指前置シフト……DまたはKを押したあとの1回だけ別レイヤー。
 花配列、月配列。
薬指前置シフト……SまたはL、同。

人差し指同時シフト……FまたはJ、同。

相互シフト……「AとBの同時」を、タイムアウトではなく、
 「Aを押したままB、またはBを押したままA」と定義。
 押してる時間の重なりが0か1だけで判定。
 タイムアウトを無関係にして、デジタル的に重なるか重ならないかで入力できる。
 薙刀式で採用され、3キー同時にも使われている。

Mod Tap……自作キーボードでよく採用される。
 100ms以上ホールドするとモデファイア、それ以内に離すとタップとみなす。


ミックスシフト……○指だけでシフトするのではなく、
 複数のシフト方式を同居させる。
 下駄、新下駄、シン蜂蜜小梅、薙刀式など。


別に親指で/同時に、にこだわる必要はない。
色々な方式でやればいいじゃない。


5. 濁音の排他的配置

親指シフトの逆手シフトは、
「表カナの濁音」と定められている。
逆に、濁音になるカナは、すべて表に置かれる、
という制約がある。

しかしたとえば「ち」のように、
濁音になるカナだがマイナーなので裏面に行くべきカナも、
表に出さなければならない。

TRON配列が、
「表と裏で、濁音になるカナは一つしかない」
ように定めた。
濁音は一意に定まるので、
濁音になるカナは表にある必要はない。
これを濁音に関する排他的配置とよぶ。

このことによって、マイナーカナを裏にもっていけて、
その分、表にメジャーカナだが濁音にならないものを出せる。

TRON、シン蜂蜜小梅、薙刀式などが採用。


6. 半濁音、小書きの同置

同様に拡張可能な概念。
OASYS時代の親指シフトは半濁音同置
(小指シフト)であったが、
NICOLA以降の親指シフトは、
小指シフトをアルファベットに譲ったので、
半濁音同置が崩れたため、
これを覚えるのは親指シフトのひとつの鬼門だ。

シン蜂蜜小梅は半濁音同置を半濁音排他で実現。
薙刀式は半濁音、小書き同置を実現。


7. 拗音、外来音の同置

拗音、外来音はマイナーな頻度の癖に種類が多く、
1モーラ発音の癖に2文字必要な、
厄介なカナ種である。

ふつうは2カナ打つことを許容するか、
別に拗音面などを用意して別個覚えるなどするなど、
面倒な処理が必要。

シン蜂蜜小梅は蜂蜜マトリックスで、
薙刀式は3キー同時押しで、
拗音同置を実現した。
さらに外来音同置まで実装したのは薙刀式のみだ。


8. BSやエンターや機能キーの入れ込み

親指シフトにはBS、ESCが小指にあるが、
小指に任せるよりもBSはよく使う。
また、エンターもBS並に使うことが知られている。
これらは文字よりも頻度が高いので、
これを配列に入れ込んだほうが合理的である。

カタナ式、薙刀式はとくに人差し指に配置してある。
メビウス式は変換キーも配列内に考慮している。

その他、変換操作に必要なカーソルなども、
配列内に入れ込む考え方もありえる。

自作キーボードでは親指キーをレイヤーキーとして、
レイヤーに埋め込むことが多い。
薙刀式では、人差し指+中指を押しっぱなしにして逆手の、
3キーを押すことで、機能キーをホームポジションから呼出す、
「編集モード」を採用している。


9. ロウスタッガード以外の物理配列

格子配列、コラムスタッガードなどを前提にした配列があってもよいではないか。
これは自作キーボードによって、
物理配列が自由化されてからの概念だ。
手の形に合ってないロウスタッガードよりも、
手の形に近いキーボードを使った方が負荷が少ないはずだ。

考え方自体はTRONカナ配列からあったが、
誰もが享受できるようになったのはここ数年だ。

とくに自作キーボードでは、
親指キーに機能キーやレイヤーキーを集中させることが多い。


10. 連文節変換

OASYS、そのIMEであるJapanistは、
単文節変換時代に発展したものであり、
その後の常識となった連文節変換を前提としていない。

考えを一気にカナで書き下ろして一気に変換する、
という操作体系を前提にしていないのだ。
なので、操作体系自体が貧弱なままなのだ。

薙刀式では、編集モードによって、
連文節変換前提の、文節移動や文節伸縮、選択や再変換が、
ホームポジションから行えるようになっている。

自作キーボードでも、
レイヤーにそうした機能を当てているものもあろう。




親指シフトはこれらを知らない。
だから僕は古い設計だと思う。
だが昔のバイクだからといって遅いわけではない。
使いこなせば速いだろう。

だけど、速い親指シフトの使い手が、
日常文をバリバリ書いていく動画(手元と画面同居)は、
現時点でほとんど存在しない。
なので僕は親指シフトが、
現代に通用するのか?について疑問視している。
(推薦者として有名になった勝間さんは、
手を手術することになったので、
負荷が高すぎるのでは?と疑っている。
また、80年代の競技タイピングの親指シフトの記録は、
920字(変換後)/10分だが、
21世紀の競技タイピングでは、qwertyが2000超えを出している)


まだまだ若い者には負けんよ、
これが親指シフトの真の姿じゃ、
を見たいんだけど……


少なくとも、
その後の発明を織り込んでないことはたしかだ。
わざわざこれから旧車に乗る意味あるか?
を議論したい。
シフターからの反論を求む。
使い込んだ老兵の、洗練された手捌きを見たい。
もしほんとにそれが凄いのなら、
伝承する手段を考えるべきでは。

ちなみに薙刀式は、日常文で1500字(変換後)/10分程度で書いていて、
そんな動画はYouTubeに40本くらいあげている。
(初期の頃は遅くて1000ぐらいだった)
posted by おおおかとしひこ at 13:51| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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