2025年11月10日

人類がおおむね賛同できることをテーマにするべき

テーマはテーゼ(定理)の形をしている。
つまり「AはBである」のようなことだ。
これはつまりある主張をしている、ということになる。
これを2時間かけて証明するのが、映画という構造になっている。

さて、これはどんなテーマでも出来るのだろうか?


僕は、人類がおおむね賛同できるものがいいんじゃない?って思う。

壮大なものを選ぶ必要はない。
悪は滅び、正義が栄えるのである、とか、
戦争はよくない、みたいな大げさなテーマから、
仕事あけのビールはうまい、みたいな小さなテーマまでやってよい。
それは、2時間かけてちょうどいい分量であれば、
なんでもいいと思っている。

ただし、テーマには、
おおむね賛同できるものから、
誰も共感できないものまで、
様々なグラデーションがあると思う。

人類は滅ぶべきである、とか、
ばれなきゃ何してもいいのだ、とか、
あいつは気にいらなないからいじめ殺せ、とか、
ろくでもない主張を考えることは可能だ。

僕が注意したいのは、
人生で恵まれていない人ほど、
こうした、大勢に賛同が得られないものをテーマに選びがち、ということだ。
人生の逆張りをしたいんだろうね。
一発逆転したいから、
世の中の価値観を180度変えたい、と思うがあまり、
中二病的なテーマだったり、
悪のテーマだったりを選びがちなんだよね。

僕はテーマは自由だと思う。
多くの人が眉をひそめるものであっても、
映画内で十分描ければ、
なんでもいいと思っている。

だけど、ふつうそういうことを言って、
反発が大きいものは、
証明が難しいと思うんだよね。

「気にいらないやつは皆殺しにしてよい」
をテーマにしたら、
反対意見がたくさん出るだろう。
それをいちいち反論して、完璧に論破できるなら、
やるべきだと思う。
ただ、2時間じゃ足りないんじゃないかなー、
って思うわけだ。

だから、きちんと論破出来るものにならなくて、
中途半端になるんじゃないか、
と警告したいのだ。

いや、2時間でできる、というならやってみて。
6時間でできる、というのでもいいよ。
それは是非見てみたい。

だけど、多くの人がやろうとしては失敗してきた歴史があるがゆえに、
無理なんじゃねーの?って思っている。

もちろん、へどが出るほど正論をテーマにせよ、
とは言ってもいない。
正解すぎるものではなくてよい。

微妙にどっちか分からないが、たぶんこうだろう、
というのがいいと僕は思っている。
あるいは、おおむね正しいんだけど、
ほんとうにそうだろうか、というあたりが、
やるべきことだと思っている。


だから、ほんとうはなんでもいいんだよ。
きちんと面白いストーリーになっていて、
ラストに「確かにその通りだ」と思えるところに、
きちんと落ちてればね。

もし、それが下手だったとしても、
多くの人が賛同するようなテーマを選んでいたら、
勝手にいいほうに解釈してくれるぜ、
ということを言おうとしているわけ。
あと、資金が集まりやすいよ。
世の中を混乱させ、悪の道に引きずり込む映画に、
人は金を出さないからね。

まあ、そういうのに資金提供するのは、
たいていろくな奴じゃないことはたしかだ。
人には社会的立場がある。
それを否定されてもかまわない連中だということだからね。


テーマは自由なので、
何をやってもいい。
ただし、多くの人が賛同するもののほうが、
作りやすい、というだけのことである。

芸術はいろんなチャレンジをするべきだし、
前の人がやっていないことをするべきだ。
だから、前例のないことに挑戦するのもとても良い。
だから止めはしない。
だけど、初心者のうちは、作りやすいほうを作っておけ、
といいたいね。
初心者ほど逆張りをしたがるから、それを止めようと思っているだけだ。
まず普通を出来るようになりなさい。
出来ないから逆張りして、出来た風を装うのはやめたほうがいい。

なぜなら、
「みんなそれをやってきたから、
それをやろうして失敗することはみんな知っている」からだ。
あなたが提出する先の人たちは、
皆「そこを大体通ってきた人たち」だと思うと、
恥ずかしくて出せないよねえ。


というわけで、
多くの人が賛同するような、
わかりやすくて面白い話にしなさいな。

それが書けるようになったら、
いよいよ、ほとんどの人が納得しないが、
すべてを見たら賛同するしかなくなる、
という悪魔的な物語に挑戦するといいよ。

結構実力がいるよ。
posted by おおおかとしひこ at 08:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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