2025年10月17日

【薙刀式】キーボードは、自力進化させられる時代になった

別にqwertyを使い続けてもいい。
109キーボードを使い続けてもいい。

でもそれは、100年間自然淘汰を受けてない、
「変えようとしたら『変えられるのは困る』と反発を受けて、
今の今までズルズルと来てしまった」、
時代の批評を受けていない仕組みである。

昔は変える方法がなかった。
今は自由に変えられる。
だから、変えたい人は自由に変えていい。


なぜ昔は変える手段がなかったかというと、
メーカーから出ていた規格品だからだ。

各メーカーごとにバラバラのものが出ると混乱するから、
JIS規格準拠にした。
たとえばネジの幅がバラバラだったら、
工業製品は大混乱になるだろう。
そのため、
キーボードの大きさ、並び方、
どのキーを押したらどの文字が出るかを、
JISで定めてある。

ただこのJIS、
あらゆる「文字の打ち方」を偉い人が検討した上で、
これがベストであると決めたものではない。

沢山の欠陥が既に指摘されていた、
英語タイプライターをもとに決めたものにすぎない。
決定理由は、
これが文字を打つのに最適だからではなく、
「すでにあるものを変えたら抵抗が生まれるから」
にすぎない。

いいものの継承をするにはこの考え方は便利だが、
よろしくないものを継承すると、
この後全部ダメになる。


似たものに、「電流の向き」がある。
プラスからマイナスに流れると昔決めたあとに、
実は電流の正体の電子は、
マイナスからプラスに移動していることがわかった。
この時点で「やっぱ電気はマイナスからプラスに流れます!」
と決め直すか、
「電子のある方をプラスということにします!」
と決め直すべきだったけど、
人類はそれを断行しなかった。
だから電磁気学や電気工事は、
いまだにややこしく、手の出にくいものになっていると僕は思う。
ただでさえ素数出てくるしな。


すでにある資産を否定すると反発が大きい。
それは人類の宿痾であろう。

とくに反発の大きいものは言語だろうか。
言葉狩りをやりすぎてみんな嫌気がさしてると思うね。
韓国なんかは思い切って漢字を捨てて、
表音文字のハングルに切り替えた。
かなりの独裁主義でなければ、
この断行を行えなかったのだと思う。


さて、メーカーと規格によって、
実質独裁独占で、キーボードは今もこうだ。

いや、どこかの独占ではない。
僕は神輿やこっくりさんだと思っていて、
「みんながこの手を離すなよ」ってなってる、
約束ごとに過ぎないと考えている。

こういうのはコンツェルン?カルテル?
経済学に明るくないので誰か解説して。


それを破ったメーカーもいた。
エルゴノミクスキーボードと銘打ったり、
非qwertyキーボードを作ったりして、
この状況を変えようとした、志のあるメーカーはいた。
だけど、
「変えるのはちょっと……」という多数派に流されていった。

あるいは最初に飛びついた人々への、
継続的サポートをしなかった。

そのキーボードはいつか壊れるし、
噂を聞いた人が買い求めようと思っても、
すでに終売しているパターンばかりだった。
(僕はμトロンキーボードを買い損ねた)

せっかく狼煙があがっても、
それは単発だったので、
すべての野心的キーボードが壊れたとき、
継続的供給ができなくなり、
それはムーブメントにはならなかった。


21世紀はそうではない。

個人でキーボードをつくることができるようになった。

自作キーボードの流れである。
キーの配置、数、
何を押したら何が出るのかを、
自分で設計できる。

設計できなくとも、
他人の作ったキットを組み立てればそれを使うことができる。

これにより、
キーボードがメーカーに縛られていた時代から、
民主化、自由化したのである。


野心的キーボードの欠点、
継続的サポートは、
データのオープンソース化によって、
それをDLして基板工場に発注しさえばよい、
ガワは3Dプリントで作れば良い、
という民主化が行われた。

メーカーたちが工場のラインを抑え、
継続的に投資しなくてもよくなったのだ。

キーの配置には著作権は発生しないと考えられるので、
自由に真似してよいわけだしね。
(営利商業だと法的にどうなんだろう。
まだ同人レベルだから野放しなのかもだが。
実際、Claw44、Corne、Grinのような、
日本人が個人で開発したものの商業クローンは存在する。
当事者同士で話し合ってればいいんだけど、
ちょっとモニョる)



それに先立つ話をする。
ソフトウェアオンリーの話だ。

物理キーボードは既製品だが、
何を押したらどの文字が出るのかのプログラムを走らせて、
文字の位置だけ変えた例がある。
これをプログラムでやるという意味で論理配列と呼ぶ。
(キーボードを自由に作り変えるのは物理配列)

論理配列は、自作キーボード以前から、
民間によって研究されてきた。

ヒートマップ、連接考慮、同時打鍵、
左右交互打鍵、アルペジオ打鍵などは、
民間の人々、個人によって提案され、
インターネットを通じて広まっていった。

そして実際に、
自作論理配列を作る人々があらわれた。
自作配列をつくるための、
汎用プログラム(エミュレーターとよぶ)もあらわれた。

たとえば薙刀式は、エミュレーターDvorakJ上で動く、
僕の作った自作論理配列だ。


プログラムを1個常駐で走らせれば、
そのキーボードが○○配列になる。

自作キーボードに先駆けて、
これらは新配列と呼ばれる運動を形成する。


今現在、
新配列は、伝統的にエミュレーターで動かす派と、
自作キーボードにも進出した派にわかれている。
盛んに交流する人もいれば、
そうでもない人もいる。

自作キーボードでqwertyに疑問を持ち始め、
既存の新配列を検索したり、
自作論理配列を作る人もいる。



キーボードは、21世紀に、
民主化、自由化された。

メーカーの硬直した、
「誰も手を離すタイミングがわからない」
状況が、少しずつ崩れている気がする。

いつか人類は、
「電流の向き、逆でした」と非を認め、
逆だと書き換えられる日が来るだろうか?
世界中の全ての本やデータを、
「逆でした」とできる日が来るだろうか?

キーボードは、それより早く、
qwertyは日本語を打つのに向いてないのに、
ずっと採用してました、すいませんと、
謝れる日が来るのではないだろうか。


もうメーカーの硬直に付き合う必要はない。

エミュレータひとつ走らせれば良いし、
はんだ付けとプログラミングや、3Dプリントをやればよい。

幸い、先人がたくさん解を示している。
その通り使っても良いし、
自分の都合にあわせて改変しても良い。
自由とはそういうことだ。

このキーボードの自由に参加するには簡単だ。
「一つしかないのではなく、
自由なやり方がある」と、
頭を柔らかくすることだけだ。


最適な配列はまだない。
ただ、あなたにとっての最適はありそう。
posted by おおおかとしひこ at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック