簡単なCMを考えよう。
「こまったー!」「そんなときはこれ!」「解決うー!」
この時にすることは「商品を買う」
という行動である。
これだと15秒で解決して映画にはならない。
映画にするには、
これを無限に伸ばしていくとよい。
たとえば、
商品を買ったあとで、
使い方が分からないとしよう。
そうしたら、使い方を調べる、
ということをしなければならなくなる。
そのときに、スマホのバッテリーが切れたとしよう。
充電しなければならなくなる。
充電しようと思ったら、
電気代を払ってなくて、
停電したとしよう。
停電を解除するために、
電気代を払おうとして、
そもそも東京電力に電話することが、
スマホからはできないことに気づき、
カフェで充電することを思いつくが、
その席は埋まっているとしよう。
こんな風にして、
〇〇をするためには××しなければならない、
というのをどんどん積み重ねていくといいのだ。
「人気アイドルになる」という目標を立てたとして、
事務所のオーディションに受かる、
その写真を撮るために、
映える写真を撮る方法を考える、
オーディションに受かったあとも、
演技の勉強やダンスの勉強があり、
端の役を与えられてもうまくいかなかったり、
偉い人とセックスすればデビューさせてやると言われて、
悩んで断って、それから干されたり……
なんて、
沢山の「やるべきこと」を超えないと、
うまく成功しないわけだ。
CMは15秒で終わらなければならないが、
物語はもっと長く続く。
だから、「〇〇のためには××をしなければならない」
「××のためには△△をしなければならない」
「△△のためには……」
を、
無限に続けていけばいいということになる。
これを、行動の連鎖と呼ぶことにする。
連鎖が1しかないと、
話はすぐに終わる。
2なら、もうちょっとやるべきことが増える。
3とか4になると、
一直線では物足りなくなり、
3をやるには5と6が必要で、
4のためには5が犠牲になる、
みたいな、複雑なたすき掛けもできるようになる。
そして、
主人公ができる行動は、
外的なことをなんとかするだけではなく、
人間関係の何かを解決したり、
自分自身の弱さを否定して、
克服することすら必要になってくるわけだ。
充電するとか、電気代を払うとかの、
一人でできる物理的行動は面白くないから、
人間関係のややこしいことにしたほうが、
話は面白くなってくる。
なぜなら「反対する人」が障害になるからだ。
物理障害よりも、人が障害になるほうが、
ずっと複雑で味がある。
殴って倒すだけでなく、説得したり懐柔したり、
味方につけることもできるからだ。
そこで人間の何かを描けるわけだね。
自分の欠点を直すことはもっと難しいから、
これをうまくやれれば、
もっと話は面白くなる。
だから、ほとんどの面白い話は、
充電したり電気代を払う話ではないのだ。
そして、「敵を倒す」というのが、
一番人間関係的に面白いので、
映画には敵が出てくるわけだね。
もちろん、敵が出てこない映画もあり得る。
でも出てくると面白くなるので、
じゃあやるか、と敵を出すんだよな。
カフェの充電席を巡るよりも面白いからな。
それは、困難ほど面白い。
もちろん、困難ほど書くのが難しい。
だから、主人公には最初から、
それを超えられるだけの能力が設定されていることが多い。
でもそれだけだとただのスーパーマンになるから、
ちょうどいい塩梅が必要だと思う。
あるいは、長所と短所があって、
それを交互に使わないといけないとかね。
〇〇のためには××をしなければならない、
という行動の連鎖は、
あなたが自由に組める。
ぷよぷよの連鎖をイメージするといいかもね。
全部の連鎖をやり終えて、
最後の1パーツがはまったとき、
一気にものごとは解決して、
最後にCMで見た道具を使って解決したり、
人気アイドルになって物語は終わるわけだ。
あとは、その過程がおもしろいかおもしろくないかが、
物語の質を決めるだろう。
電気代を払いに行くコメディがあってもいいと思うけど、
たぶんつまらないだろうね。絶対とは言わないが。
つまり、
その過程の面白さが、
物語になるわけだ。
だからCMは物語じゃない。
連鎖が1なのは物語といえまい。
最低2以上。
映画ならそれは数十から100くらいあるだろう。
2025年12月27日
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