成長とか、変化とか考えると、急に難しくなる。
なので、
「一皮むける」と考えると、扱いやすくなる。
ある冒険をする。ないしは行動をする。
ある動機や目的があり、
それは行動しないと実現しないので、
行動するしかない。
好むと好まざるとに関わらずだ。
で、それにはたいていリスクがある。
危険がないと、ストーリーとしておもしろくないからだ。
コンビニにいく、という行動ですら、
何かしらの危険に巻き込まれるから、
話は面白くなるのである。
そして、その障害、危険を飛び越えて、
何かを成し遂げるのがストーリーだ。
そのときに、
それまでと変わらずに乗り越えられるならば、
とくに成長の必要はない。
変化しなくても、そのままスルーで達成できる。
これは達成としておもしろくない。
簡単にやれる範囲ならば、日常と変わらないからだ。
コンビニでジュース買うようなものを、
映画館には見に行かない。
(逆にYouTubeやバラエティでは、
人気芸能人がコンビニでジュースを買うだけで話が持つ。
リアルだからだ。映画はフィクションを見る)
何か非日常のおもしろいものがあるから、
フィクションの見世物になるわけだ。
で、その危険を乗り越えて、
リスクに賭けて、
うまく成功すると、
一皮むける。
一発で成功しても、あまり一皮むけないだろう。
偶然の成功というガチャを引いただけだから。
おそらく、もう一回これが来ても、
あるいは何回来ても、
たぶん成功するだろう、
というくらいには、攻略したからこそ、
一皮むけるのだ。
難易度が高いほうがおもしろくなるけど、
そしたら、それは大成長になってしまう。
一介の学生が起業してスティーブジョブスになる話を書くのは、
なかなか難しいだろう。
だから、難易度は「自分の書ける範囲」にとどめるのがよい。
あるいは、「自分の書ける範囲」だと狭くなるので、
「その主人公なら突破できる範囲」にするべきだろう。
なんにせよ、
ギリギリを乗り越えると、
人は一皮むける。
目の光が違う、までなるかはわからないが、
程度によってはそうなるかもしれない。
考え方が少し変わるかもしれない。
態度に余裕が生まれるかもしれない。
自分だけじゃなくて、他人に気を遣う余裕が出るかもしれない。
なんでもいい。
一皮むけることが、成長だと思うとよい。
単に身長が1センチ伸びたとか、
筋肉が1キロ増量したとかは、
肉体的な成長にすぎなくて、
これは映画でやるべきことではない。
映画でやるべきことは、精神的な成長、
精神的な「一皮むけた」だ。
その結果、筋肉が1キロ増えたのなら、
それは象徴表現にはなる。
絵で示さないと映画にならないからね。
でもただ肉体が変化した、欠損した、では、
一皮むけたにはならない。
もちろん、1キロ筋肉が増えたことで自信がつき、
負けそうになってたやつに当たりが強くなった、
というならば、それも一皮むけたことにはなるだろう。
成長を描くには、
その、一皮むけたを、どう表現するかで決まる。
「前は〇〇だったのに、今は××だなあ」
というのが一番わかりやすくて、
ビフォーアフターテクニックとも名づけられる。
前は女子の前に出たらしどろもどろだったのに、
今は普通にしゃべれるとかでいい。
もちろん、悪の道だった男が、
正義の味方になるという180度の変化でもよい。
(これはとても価値のある冒険をしたときだけにしか起こらない変化であろう)
ビフォーをファーストシーン、
アフターをラストシーンに持ってくるのを、
ブックエンドテクニックというのであった。
最初に印象的なシーンを見せておき、
すべてが終わったあと、
同じシチュエーションになって、
変化を見せるのはわかりやすいビフォーアフターだ。
それではじまり、それで終わる、
ということで、それがテーマであることが明らかになるしね。
うまくそれがはまると、気持ちいいよね。
(何回か書いているが、
フィンチャーの「ゴーン・ガール」は、
冒頭とラストに妻のカットがあるブックエンドなんだけど、
「幸せそうに思えた夫婦生活は実は地獄で、
それでもまだこの地獄は続くのだ」というバッドエンドの意味合いになっているのだが、
これ、今でも冒頭とラストは同じカットであるべきだったと思うんだよなー。
そうしたら、歴史に残ったのに。
「同じ絵なのに、我々が知ってしまったことで、
まったく別の絵に見える」というのは、
トリックとしてとてもおもしろいのに。
実際は別テイクだそうです)
色んな変化がある。
しかし、変化というと難しいから、
この男(女)は、
このストーリーを通じて、
どういう一皮むけた状態になったか、
を考えるとよい。
人間、そんなに急に内面は成長しない。
少しずつ、皮がむけるようにしか、
伸びていかない。
だいぶやるようになったやん、になるまでは、
何皮もむけないといけないが、
今回一皮むけられたから、いずれ何皮もむけるだろう、
という風に思えて終わるのもよいだろうね。
というわけで、
成長や変化を難しく考えすぎないことだ。
自然に何かをできるようになる、くらいでいいと思う。
アフターの表現ができているならば、
逆算して前半にビフォーを描いておくとよい。
まあ、たいてい登場シーンの近辺になるだろう。
あなたが経験した、一皮むけたことは、
どんなものがあっただろうか。
夏の海で焼いたとかじゃないよ。
あくまで内面のことだ。
自分でわかりにくいならば、
友達に聞いてみよう。
あるいは、他人の「一皮むけた」という瞬間を思い出そう。
実は、後輩とか年下のほうがわかりやすい。
その、一皮むけた瞬間を映画にできないかなあ、
そのことは生かしつつ、事件や冒険はまったく別のことを創作したうえで、
最終的にその一皮むけたところにたどり着く話はできるかなあ、
などと考えると、
リアリティを芯にした、
壮大な話がつくれるかもしれないよ。
逆でもいい。
何か事件やシチュエーションを思いついたら、
これを解決することで一皮むけるとして、
どういうことになるだろう?
と考えたうえで、
主人公の造形を逆算してつくることもできる。
2026年01月03日
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