2026年01月22日

話がうまい人は、「あとは分かるな?」がうまい人

といえないかなあ。


最近言語化とかよくいうようになった。
なんでもかんでも言語化だ。
そんなにみんな言語化がうまくないだろうし、
そもそも言語で何かをマスターしてきたのだろうか。

体得という言葉が示すように、
何かがうまくなるには、実際には脳での理解よりも、
莫大なトライアンドエラーの方が重要だ。

それを分かった風な振りにさせる、
気分のいい方法が言語化のような気すらしてくる。
みんな体育会的な「体得」は好きじゃないからね。
最近あんまり言わないようになったけど、
一時期ライフハックとかよく言ったんだよな。
それに近い匂いがするね。


で。

話がうまい人というのは、
ちょうどいい分量に言語で書ける人のことだ。
多すぎてうざがられたり、
余計な情報で余計に混乱したりせず、
足りなくて理解が出来ない、
ということもないということだ。

それは、ちょうどよい所を100%の精度で切り取ることが、
求められているような気がする。

しかしそれはうまさではなくて、
まだ誠実さでしかないと僕は思うのね。


うまい人は、
想像させるのが得意なのよね。
つまり、
説明よりも相手に想像させることを重視すると、
説明する量は少なくなるはずなんだよ。
少ないほうが想像力が働くからね。

すなわち、
「あとはわかるな?」が上手い人ということだ。


だけど、それだと誤解があるかもしれない。
だからきちんと説明しなければならない。

このトレードオフがあるときに、
説明を切り、想像を増やし、
100%誠実に説明するよりも、
よい想像を得られると分かっているときに、
100よりも切れる人のことを、
想像させるのが上手い人だと思うわけだ。


なぜなら、説明の労力は減るし、
相手の想像力は膨らむし、
コストパフォーマンスは飛躍的に上がるからだね。
(実際、うまく説明することがクリエイティブなので、
作者のコストはむしろ上がっているのだがね。
だらだら説明するほうが労力としては楽だったりすることが多い)

想像する相手を信じるから、
想像に任せられるわけではない。
想像を誘導するから、
想像させることができる。

ラジオCMの表現講座によくある例なんだけど、
「花束がドアを開けた。」
というやつ。
これは映像じゃ表現できない、
言葉のみの例としてよく使われる。

でも花束が本当にドアを開けるわけじゃなくて、
「ドアを開けたら花束があって、
おめでとうと言われた」の、
省略形ということは想像できるじゃない?

こういう、常識と、
答えがわかったときにハッピーになるような、
そういう想像へ誘導することが、
「想像力に任せる」ということなんだよね。


言語化言語化いうてることは、
たぶん、つまらないことを言語化しようとしているんだよ。
そんなもの言語化をいくら頑張っても、
受け取る側は幸せにならないのさ。

「想像したら説明を聞くよりもずっと素敵なこと」
をつくる人が、
想像させるのがうまい人なんだ。

パパが娘に、
「今日パパが一緒に海に行きたいと思ってる人がいるんだけど、
誰だかわかるかな?」
と言う誘い方がある。
一拍あって娘が「……わたし?」
と答えるまでの、
私が愛されていると気付くときの喜びがあるから、
この質問は幸せなのだ。

これなんか「私は今日君と海へ行きたい」と、
ストレートにいくほうがコストは安いんだけど、
そんなことじゃないよな、
という想像力こそがよい、
という典型的な例だ。


まずこれを身に着けることだ。
といっても簡単なことじゃない。
でも、
想像したほうが、より説明よりも響く、
ということを知っていると、
あらゆるところでこれを応用しようとすることになるだろう。

そして、ハッピーな想像をさせられるようになると、
逆に不幸なこと、嫌なことも想像させることができる、
と気づくよね。
ホラーやスリラーは、
それを利用している形式だよね。

どちらでもよい。
どうせ良いニュースと悪いニュースがある、
どっちから聞きたい?なのだからね。



想像とは、
相手に立ち止まらせることから始まる。

立ち止まらせるのに的確な、
違和感をうまく放り込み、
なるほど、とあとで膝を叩くような伏線になっていることが必要だ。

話がうまい人の条件のひとつであることは、
誰でもわかるよね。
posted by おおおかとしひこ at 08:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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