2025年12月15日

同工異曲(「突入せよ!「あさま山荘」事件」評)

ついでに代表作の1本を初めて見てみた。
うーん、「金融腐食列島・呪縛」と、
同工異曲やな。

おっさんたちの群像劇、実際には何が起こってるかよくわからんが、
何かが起こってる感じ。
リアリティある取材はしてるけど、
時間経過のみでプロットラインがあるでもなく。

そういえば「日本の一番長い日」もこうだったなー、
と思ったら、リメイク版を原田眞人やってたわw

原題の「ヘラクレスの選択」のほうがいいけどね。
以下ネタバレ。


なんといってもラストのセリフよ。
「こちら、ヘラクレス」はたまらんかったね。
これぞセリフの力。
テーマをここで落とすのか、
という切って落とす感じ。
これは大変良かった。

でも落ち着いて、待てと思う。

そんな「ヘラクレスの選択」やってたっけ?現場で。

色々やってたけど、
まあ当然やなという選択ばかりで、
「ヘラクレスという強者はあえて大変な選択をする」
というテーマ性に落とすほどでもなかったかもね。

昭和の男の美化には役に立つが、
この映画全体をまとめているわけではなさそうだね。


ラストの鮮やかさで誤魔化されたけれど、
決してそういう話でもなかった。
実録再現ものとしてはよくできてるのかもだけど、
「で、それがどういう意味なんでしたっけ?」
という社会的検証が抜け落ちている。

こういうものを全部ひっくるめて「地上の星」
と名付けた中島みゆきはすぐれたワードセンスだと思う。


僕らはリアタイではないので、
連合赤軍がなんだったのか全然知らないので、
その辺を少し掘っても良かったんじゃないかしら。
ただの凶悪犯じゃなくて政治犯のはずで。
だから日本の治安が揺るがされるという、
危機感もあったんだろうに。

「金融腐食列島」でもそうだったけど、
「で、全体としてはなんの話?」が、
まるっと抜け落ちてる気がしたな。
それはもうご存知でしょうと、
映画の外へ投げすぎてる気がした。

あなたはこれをどう捉えたのか、
という作家の視点が物足りない。
現場の目線としては正しくとも、
俯瞰した目線も作家の目線だと思う。

それがヘラクレスの選択では、
全然足りない。


このタイトルは東映の岡田Pがつけたのだそう。
ヘラクレスの選択じゃ客が入らん、
というその選球眼は正しい。

posted by おおおかとしひこ at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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