2025年12月27日

デッキブラシバイオリンの原理

おお、おみごと。
https://x.com/denfaminicogame/status/2003690741231681836?s=20
デッキブラシ、バケツを使って、
バイオリンの弓で弾く、胡弓のような楽器。
その日常レベルと、音楽のチョイスが完璧。
ニューヨークのホームレスが弾いてそうなすばらしさがある。

で、理系なので、
「なんでこれでこんな音が鳴るの?」を解説しておく。


まずバイオリンはなぜ音が鳴るか、の解説。

バイオリンは弦が張ってある。
その弦を弓でこすると振動する。
弓は馬の毛でできていて、松脂を塗るらしい。
つまりめっちゃ摩擦する。
(熱くなりそう。だから長い構造で、
手前と奥を使って、同じところで擦りすぎないようになってるはず)

摩擦の高いもので引っぱるから、
ズズズズ、と弦が振動する。
ガラスを指で擦ったときにキューって鳴るよね。
その弦版だと思うと良い。
まずこのズズズズを長い時間一定に細かく振動させられるかが、
バイオリンの初歩。
へたくそは一定でなく、ズ、ずり、ズ、みたいに安定しない。
ガラスを指で擦ってキューーーーーーって一定の強さで鳴らせる人は、
バイオリンの才能がある。

その振動を、バイオリンの木のボディ(胴)が増幅する。
土管の中で声を出すと反響するよね。
ズズズズ、という弦の振動が、ゴゴゴゴ、
くらいに増幅される。

この弦を半分のところで押さえると、
振動体が半分になって短くなるので、
振動数、震える速さが倍になる。
つまり音が倍高くなる。
これは音階で言うとオクターブに相当する。

その間を8つに割ってそれぞれで押さえると、
8音階になるわけだ。

もちろん相対的高さなので、
シ=440Hzになるためには、
弦の長さや太さや張りで調整すればよい。



で、デッキブラシ。

もう大体わかったと思うが、
弦=デッキブラシの棒、
胴=バケツ、
音の高さ=左手で押さえてる位置、
に対応しているわけだ。

デッキブラシをよく見ていただきたい。
竹だと節があって弦としては非一様で使いづらいが、
このデッキブラシには節がなく、
一様の素材(木またはプラ)で作られた棒であることがわかる。

つまり、
弓で擦って振動させたとき、
440Hzで振動する棒を探すのが、
この楽器の中で一番難しい。

長さ、太さ、硬さ、一様性が揃ったのが、
たまたまデッキブラシだったのだろう。
(たとえばホウキやつっかえ棒なども試したであろう)

あとはその振動を反響させて増幅するのに、
デッキブラシと相性のいいバケツを持ってきたのだ。
木箱とかでも反響するが、
やっぱバケツよね。
金属のバケツより、プラのバケツのほうが反響しそう。


演奏技術を見てみよう。
どこを抑えればどの音が出るのか、
この人は印をつけず感覚だけでやっている。
たぶん相当練習したのだろう。
あるいは、この人は変なもので楽器を作るマニアらしいので、
もう慣れているのかもしれない。

棒に触れているのは音の高さを変える左手のみ。
肩に担いだらそこで振動が止まるからだね。
棒を下に置くとそこでも振動が止まるから、
デッキブラシの歯が、ちょうどいい緩衝材になってる。
この形を見つけたとき「これだ!」って思ったに違いない。

ビブラート、棒を振ったり押さえる位置を微妙に変えて、
揺れを作ってるのも上手。

よく見るとバケツの中に録音機材がある。
耳ではこんなに大きく聞こえなくて、
土管の中で録音してるから、
こんなに残響が綺麗に拾えてるんだね。
(実際に耳で聞く楽器では、
ほとんど塞いで小さな穴からこの反響音を出す。
ギターの穴を思い出すと良い)

いや、拡大するとスピーカーっぽいのがあるから、
マイクで拾って増幅して、スピーカーから出してるかも。


理系は見てる世界がちがうとよく言われるが、
理系はこの動画を見て、秒でここまで理解します。
あとはうまいもんだなー、よく考えたなー、
クリスマスだなー、と堪能するわけです。
「そうは鳴らんやろ」なんてツッコミを考えずに、
「なるほどこういう原理か」と理解できるのが理系。
posted by おおおかとしひこ at 11:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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