2026年02月06日

「うまいことやったな」をただ一つにすること

創作物というのはたくさんのアイデアの集合体である。

だけど、それが取っ散らかると、
「一体なんなんだこれは」という、
全体性が失われる。
(とっ散らかってる例でいうと、
最近見た中では「タローマン劇場版」だな)


つまり、アイデア同士がけんかするということだ。
食いあいする、ともいえる。

あるアイデアとアイデアが矛盾しているのは最悪だ。
それはうまく逃げ合わなければならない。

同じ程度の大きさのアイデアが共存すると、
「何が大事なのだろう?」とわからなくなってしまう。
二つならまだいいが、3つ4つと増えていくと、
何が言いたいんだっけ?になってしまう。

竜と虎ならまだいいが、そこに鷲や鮫や蛇が共存すると、
なんだっけこれ、になるというわけだ。
だから、竜が最強として、
他は小さい、のように調整する必要がある。


アイデアとは、
「うまいこと考えたなー」という感心である。
強さの戦いではない。
だから、
その「うまい!」という腹落ち、爽快感が、
一番メインに来なければならない。

メインテーマの定着、
落ち、
決着の仕方、などが、
もっともうまくなくてはならない。

他のもののほうが「うまい!」になるなら、
それはアイデアのバランスがおかしいということだ。


出会いのアイデアがよくて、
その次の展開や落ちのアイデアがよくなかったら、
それは出オチという烙印になるだろう。

サブのアイデアがよくて、
メインのアイデアが微妙だったら、
「主人公以外のキャラがよかった」になるに違いない。
(そしてそれは結構多く、それらは「惜しい」になる)

つまりテーマとメインとへそだ。

そこに腹落ちする、素晴らしいアイデアがあるから、
それはそこがアイデンティティになり、
「うまい!」となるのである。

たとえば僕はフィンチャーの「ゲーム」を挙げておく。
一回きりしか使えないネタだけど、
あの落ちはめっちゃ素晴らしい。
それ以外はすべてネタバレになるため、
かの作品が知られていないのは、大変もったいないと思う。
もし未見ならばぜひ見てほしい。
ラストのアイデアがすばらしく、
最初から振ってきた前振りが、見事に回収される様を楽しんでいただきたい。

それでいうと「ソウ」(1作目に限る)も、
ラストは拍手ものだよね。

こういう、へそが一番「うまい!すごいアイデアだ!」
ってなるのが理想だと思っている。


つかみにもアイデアは必要だが、
それはメインのアイデアではないだろう。
もしそういうものを思いついたら、ストックだけして、
そこから発展して話を考えるのはやめておくことだ。
なぜなら、
それより良いアイデアが出ない限り、
出口が見つからないからだね。

「行ける!だってすごいアイデアが出たんだもの!」
と思うのは、最初のつかみではなくて、
落ちであるべきだ。

それが思いついていないなら、
まだアイデアとして、「うまい!」「なるほど!」に、
たどり着いてないまであるね。


最終的に、
あなたはすべてのアイデアを統合して、
一個の作品にしあげることになる。
だけど、
それらに使われている沢山のアイデアに、
点数や色をつけていくとして、
もっとも高い点数で、もっとも目立つ色が、
ラストやテーマを示す部分にないものは、
作品として凡庸である、ということだ。

「おもしろかったけど、何がいいたいの?」でおしまいだと思う。

すべてはテーマへと集約される。
そのことにアイデアを使うべきだ。
posted by おおおかとしひこ at 08:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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