2026年01月08日

同工異曲(「ナイトフラワー」評)

ミッドナイトスワンが当たったから、
もう1本当てようぜ、似たような世界観でさ、
そうだ、「ブラックスワン」と「レスラー」がペアになってるじゃん、
バレエやったからプロレスやろうよ、
という企画書が透けて見える。

貧乏でバカで救いのない人たち。
夜の街で稼ぐしかない人たち。
若さと才能。

田中麗奈がウミガメみたいな顔のおばさんになっててびっくりした。
手がシワシワでねえ。

以下ネタバレ。


ラスト、田中麗奈が娘を殺してたらどうなったろう?
因果応報という意味ではそちらではないかな。
ハリウッド映画じゃないんだから、
「子供が死んではいけない」わけでないので。

そこがご都合かなー。
あんまり納得いかないや。
(仮に夜しか咲かない花が昼間に咲いてるから、
幻想落ちだったとしたら、
じゃあこの話は何が言いたいねんとなってしまう)



脚本技術的には、
「事件は向こうからやってくる、
それに対応してるばかり」
というのが気になった。
まあ、そういうもがく人たちが主人公なんだけど。

ジムがつぶれる、トレーナーがねばる、
偶然元チャンピオンとの試合が決まる、
なんてのは全部向こうからやってきたもの。

餃子定食を拾おうとして薬の売人に出会うまではいいとしても、
殴られて薬を拾うのはやりすぎなご都合かな。
元々2シーンだったものを一つにしたような感覚があった。

北川景子が美人だから絵が持ってるけど、
あれがリアルな人、
たとえばドンキにいそうな人だったら、
目も当てられない話になりそうだ。
あんなに美人なら風俗で稼げるだろうに。
格闘家の方が風俗やってるのにビビるわ。

ジムにボスが乗り込んでった理由がわからないし、
幼馴染が拉致されてる理由もわからないし、
質問3つが省略された理由もわからないのが、
モヤッとするなー。
5倍の量の薬、数が足らなくなって誤魔化してたのだろうかね。



金持ちの親友ポジは、
死ななきゃいけないルールでもあるのかねえ。
そこからの女スパイみたいな田中麗奈はギャグに見えてしまったがね。

ということで、
ミッドナイトスワンと同じ町の話に見えるね。
あのバイオリン教室の近くにバレエ教室ありそうだし、
同じ海に行ったんじゃないかとすら思う。

これを作家性と見るか、
同工異曲と見るかでいうと、
後者に見えた。


毎回小説に書くのかなこの監督。
その根性はすごいな。
小説で書き切ってるから、
映画では省略技法が使えてるのかしら。
(カットしすぎの件もあるけど)


仮にこれを「レスラー」と比較するなら、
全然「レスラー」のほうが面白かったよ。

そういえばダロノフスキーがやってた、
「歩く後ろ姿をステディカムで追う」
のカットもいくつかあったね。
ミッドナイトスワンでは特徴的な赤のハイヒールを見せるアレンジで工夫してたけど、
こっちでは何もアレンジしてなくてがっかり。



あと、脚本家も監督も関西人じゃないね。
言葉やイントネーションは関西弁だけど、
あの会話は関西人の会話じゃない。
そのへんも違和感あってファンタジーに見えた。
(北川景子のアドリブらしき箇所があったけど、
この人関西人としてはあんまり面白くない方なんだな……)
posted by おおおかとしひこ at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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