2026年03月19日

テーマは現代を鋭くえぐる

なんてことを必ずしも考えなくていい、
という話。


何か書け、と言われたときに、
書き慣れていない人ほど、
大げさなテーマを書きがちだ。
戦争はよくないとか、差別をなくそうとか、
AIと人間の共存とか。
それをきちんと論じるだけの教養があるなら別だけど、
たいていの人は専門家ほど詳しくないし、
自分の世間を見た実感レベルから出ていないものしか書けない。

それは、「ほかの人から見て、興味深く、おもしろいか」
という自覚をしていない。

自分がAIの専門家でもない、
そんなにAIを使い込んでいない人の、
「AIと人間は共存できるか」なんて話、
聞きたいとは思わないだろう。
そのネタが特別で、おもしろければ別だけど、
そのオリジナリティがないそういう話は、
ただの説教か実感レベルで終わってしまう。


他の人が、よってたかって面白い、
というものになるのが理想だ。

だけど、そういうものはなかなか思いつかないので、
「まあ、それはそう」
という程度の、普通の実感を描くのがいいと思う。

あるいは、おすすめとしては、
AなのかBなのか結論が出ていないものについて、
Aである、という結論を出すものがいいと思う。

たとえば、犬猫のどっちがいいか、
というのに対して、
「犬がいい」というストーリーを書くといい。

「犬も猫もどっちもいいよね」ではない。
どちらかをはっきりとした、
旗の色がきちんとあるものを書くとよい。

それはあなたの主張ではない。
あなたの主張でないもののほうが、
客観的に書けると思う。

「私は猫が好きだが、
犬が好きだという話を、仕事として書いてみよう」
というほうが、
「私は犬が好きで好きでしょうがない」
という周りが見えていない人の文章よりも、
客観的に面白く書ける可能性が高いということだ。
ただし、
「どうしても犬が好き」という熱量で勝てないから、
冷静なものになってしまう。
だから取材するのだね。
犬がどうしても好きな人を取材して、
その熱量を知るとよい。
そしてそれは主人公に反映させるといい。
そのことによって、
主人公のこだわり、熱、深いところにある何かを、
表現できる可能性がある。

「物語のテーマは作者の主張である」
なんていう人は、
たぶんこの領域に達していないものしか知らない人だろう。

我々はビジネス犬好きになって、
犬は良いという話を書くだけなのだ。
でもしょうもないビジネス営業スマイルじゃなくて、
「この子は本気で俺を好きかもしれない」と、
キャバ嬢なみに勘違いさせないといけないんだね。

ということは、結局本気で書かないとダメ、というわけなのだ。


さて。
じゃあ、何を書こうか?
実のところ、
結論が決まっていないことを選ぶ。

AかBか決まっていないような、
二項対立のほうが楽だけど、
もっとふわっとしているものでもいいんだよ。
ただしその結論は、
とがっている、色のある、はっきりしたものほど良い。
「犬も猫もよい」ではなくて、
「犬しかありえない」
「猫が至高である」
と、エッジが立っていないと、
ストーリーとして面白くならない。
なぜなら、強いほうが、話が強くなるからだ。

「犬こそ至高」というテーマを書こうとすると、
「猫を愛さない者は殺す」という敵をつくることが出来るよね。
その敵と殺し合いをする、
というストーリーだって書けるわけ。
そうすると話が強くなる。
殺し合いをするからだ。
それが、「猫っていいよね」というくらいの弱さだと、
ふわっとした話しか書けなくなるだろうね。
それはつまらない。
アクが強く、濃く、コントラストが強烈な話のほうがおもしろくなる。


何を書くべきか?
それを探すのが作家という仕事だ。
そして、自分が書けるものを探すのも、作家という仕事だと思う。

モチーフは得意なものでも、
取材して見つかるものでもいいよ。
しかし、テーマは実はなんでもいいまである。
話がまとまるものであり、
強くてフラッグがしっかりした色がついていれば、
なんでもいいと思う。
道徳的に正しいかどうかも考えなくていい。
最悪正しくないほうを敵にして、
負けさせればいい。


何か新鮮な議題を提供するつもりでいい。

今、何について、
「それはAだろ」「それはBだろ」とバトルしたら面白いかな?
そして、自分の書けるレベルのABの戦いって、
どういうものかな?

それが見つかったら、
テーマという芯は決まる。
そこが考えられていないと、
どんな何を書いても、
それが何?というものになると思う。

繰り返すが、
テーマは作者の主張ではない。
犬が最高という話も、
猫が最高という話も、
我々はどちらも書ける。
ただ、受ける方とか、面白くなる方を書いているだけで、
その議題そのものに興味がない場合もある。

だけど、書くときは本気で書く。
優秀なソープ嬢が、風呂の中では本気で恋するようにだ。


だから、やり方を間違えると精神が崩壊する。

身近な題材の方が嘘をつきやすいという人もいる。
まるで遠い題材の方がいいという人もいる。
両方試してみるといい。
posted by おおおかとしひこ at 08:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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