なんてことを必ずしも考えなくていい、
という話。
何か書け、と言われたときに、
書き慣れていない人ほど、
大げさなテーマを書きがちだ。
戦争はよくないとか、差別をなくそうとか、
AIと人間の共存とか。
それをきちんと論じるだけの教養があるなら別だけど、
たいていの人は専門家ほど詳しくないし、
自分の世間を見た実感レベルから出ていないものしか書けない。
それは、「ほかの人から見て、興味深く、おもしろいか」
という自覚をしていない。
自分がAIの専門家でもない、
そんなにAIを使い込んでいない人の、
「AIと人間は共存できるか」なんて話、
聞きたいとは思わないだろう。
そのネタが特別で、おもしろければ別だけど、
そのオリジナリティがないそういう話は、
ただの説教か実感レベルで終わってしまう。
他の人が、よってたかって面白い、
というものになるのが理想だ。
だけど、そういうものはなかなか思いつかないので、
「まあ、それはそう」
という程度の、普通の実感を描くのがいいと思う。
あるいは、おすすめとしては、
AなのかBなのか結論が出ていないものについて、
Aである、という結論を出すものがいいと思う。
たとえば、犬猫のどっちがいいか、
というのに対して、
「犬がいい」というストーリーを書くといい。
「犬も猫もどっちもいいよね」ではない。
どちらかをはっきりとした、
旗の色がきちんとあるものを書くとよい。
それはあなたの主張ではない。
あなたの主張でないもののほうが、
客観的に書けると思う。
「私は猫が好きだが、
犬が好きだという話を、仕事として書いてみよう」
というほうが、
「私は犬が好きで好きでしょうがない」
という周りが見えていない人の文章よりも、
客観的に面白く書ける可能性が高いということだ。
ただし、
「どうしても犬が好き」という熱量で勝てないから、
冷静なものになってしまう。
だから取材するのだね。
犬がどうしても好きな人を取材して、
その熱量を知るとよい。
そしてそれは主人公に反映させるといい。
そのことによって、
主人公のこだわり、熱、深いところにある何かを、
表現できる可能性がある。
「物語のテーマは作者の主張である」
なんていう人は、
たぶんこの領域に達していないものしか知らない人だろう。
我々はビジネス犬好きになって、
犬は良いという話を書くだけなのだ。
でもしょうもないビジネス営業スマイルじゃなくて、
「この子は本気で俺を好きかもしれない」と、
キャバ嬢なみに勘違いさせないといけないんだね。
ということは、結局本気で書かないとダメ、というわけなのだ。
さて。
じゃあ、何を書こうか?
実のところ、
結論が決まっていないことを選ぶ。
AかBか決まっていないような、
二項対立のほうが楽だけど、
もっとふわっとしているものでもいいんだよ。
ただしその結論は、
とがっている、色のある、はっきりしたものほど良い。
「犬も猫もよい」ではなくて、
「犬しかありえない」
「猫が至高である」
と、エッジが立っていないと、
ストーリーとして面白くならない。
なぜなら、強いほうが、話が強くなるからだ。
「犬こそ至高」というテーマを書こうとすると、
「猫を愛さない者は殺す」という敵をつくることが出来るよね。
その敵と殺し合いをする、
というストーリーだって書けるわけ。
そうすると話が強くなる。
殺し合いをするからだ。
それが、「猫っていいよね」というくらいの弱さだと、
ふわっとした話しか書けなくなるだろうね。
それはつまらない。
アクが強く、濃く、コントラストが強烈な話のほうがおもしろくなる。
何を書くべきか?
それを探すのが作家という仕事だ。
そして、自分が書けるものを探すのも、作家という仕事だと思う。
モチーフは得意なものでも、
取材して見つかるものでもいいよ。
しかし、テーマは実はなんでもいいまである。
話がまとまるものであり、
強くてフラッグがしっかりした色がついていれば、
なんでもいいと思う。
道徳的に正しいかどうかも考えなくていい。
最悪正しくないほうを敵にして、
負けさせればいい。
何か新鮮な議題を提供するつもりでいい。
今、何について、
「それはAだろ」「それはBだろ」とバトルしたら面白いかな?
そして、自分の書けるレベルのABの戦いって、
どういうものかな?
それが見つかったら、
テーマという芯は決まる。
そこが考えられていないと、
どんな何を書いても、
それが何?というものになると思う。
繰り返すが、
テーマは作者の主張ではない。
犬が最高という話も、
猫が最高という話も、
我々はどちらも書ける。
ただ、受ける方とか、面白くなる方を書いているだけで、
その議題そのものに興味がない場合もある。
だけど、書くときは本気で書く。
優秀なソープ嬢が、風呂の中では本気で恋するようにだ。
だから、やり方を間違えると精神が崩壊する。
身近な題材の方が嘘をつきやすいという人もいる。
まるで遠い題材の方がいいという人もいる。
両方試してみるといい。
2026年03月19日
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