皮肉とはシニカルな、ということではない。
「逆がある状況」とでもいおうか。
あちらを立てればこちらが立たず、のような、
あることと別のことが逆になるような状況、ということだ。
シニカル、というよりはジレンマ、と訳すべきかな。
ある状況があり、
行動Pを取ると、Aは良化するが、Bは悪化する、
という状況だ。
行動Qだと、Aは悪化するが、Bは良化する、
という状況だ。
このとき、Aを優先するか、Bを優先するか、迷うわけだ。
とはいえ、どっちかをやらないといけないので、
ここで二択が発生する、ともいえる。
あのとき逆の選択肢を取っていたらどうなったか、
というのはとても楽しい状況だ。
もちろん、書く側にとってはプレッシャーのかかる、
難しい状況なのだが、
見る側にとってはとてもおもしろい、フィクションならではのお楽しみだ。
というのも、人生でそうした瞬間はたくさんあったからだね。
単に、どこの町に引っ越すか、とかの、
多数の選択肢から選ぶ「あのときこうしていたら」ではなくて、
もっと厳しい条件下での、
AとBをどちらを優先するべきだったか、
というジレンマが強く存在したほうが、
迷いや悩みが生じるから、
人生でそんな経験をした人ほど共感しやすいわけだね。
あー、俺にもまったく同じではないが、そういう状況があったなー、
などと思い出すわけだ。
Pちゃんと付き合うか、Qちゃんと付き合うか、
なんて単純な二択であったとしても、
ジレンマをつくっておくとよい。
Pは昔からの親友で、Qと付き合うと祝福はしてくれるが悲しむだろうとか、
そういうやつね。
どっちに転んでも、何かしら痛みはあり、
でもリターンもあるという状況をつくるとよい。
この枷があると、
前に進めないことがあるだろうか?
いや、これを一個だけじゃなくて、複数置いておくとよいのだ。
そして、一個締め切りをつくっておき、
ひとつを決めれば連鎖的にこれだと決まっていくような状況を、
ぷよぷよの連鎖のように組んでおき、
そのひとつの締め切りに対して、
決断をしなければならないようにしていくとよい。
いくつもの絡み合ったジレンマが、
解消していき、
もしあのとき別の選択肢を選んでいたとしたら、
などと思いながら、人生を進めていくことになるだろう。
リアル人生と違って、
別の選択肢を選んでいたときの結果も、
なんとなく分るといいと思う。
別の道を選んだ時、向こうの道が爆発して、
こっち来てよかったー、
なんてことはアクション映画ではよくあるよね。
アクション映画じゃないにしても、
向こうに行ってたら社会的に終わってた選択肢だったわ、
ということがあとでわかるとかね。
そうした決断が正しかったことがあとで分ると、
人生の答え合わせができて、
自分の決断は正しかったというのを確認できるおもしろさがあると思う。
逆もあって、向こうを選んどきゃ良かった、
というのがあとでわかることもある。
そういうことが分るのも、現実よりフィクションのほうが、
示しやすいだろうね。
現実では、あの子とつきあってたらどうなったかなんて、
シミュレーションしても無駄だからねえ。
ということで、逆の状況をしこもう。
ジレンマをしこもう。
選択をしこもう。
リターンとリスクをしこもう。
あちらを立てればこちらが立たずをしこもう。
これらが仕込まれている状況で、
主人公はなぜそっちを選ぶのかをつくろう。
逃げるのか戦うのか、を決めるのはよくある。
(闘争-逃走反応。fight-or-flight responce)
武器があったりすれば戦うし、
逃走経路が確保されてれば逃げるだろうし、
じゃあ両方あったらどうか、という話よね。
今勇気を出すべきチャンスと見るか、
今逃げれば助かるチャンスと見るか。
そうした決断がたくさん矢継ぎ早に出てくると、
考える暇なく走り出すことになる。
その感覚が、映画の感覚だろうと思う。
小説では、ずっと二つの可能性について、
それらを詳細に分析することになるかもしれないが、
映画はリアルタイム時間で進むので、
決断はリアルタイムでやる必要がある。
その、時間とともに進む感覚は、
映画のほうがより強いと思うし、
考える暇を与えないほうが面白くなると思う。
(逆に、難しすぎる選択肢を与えることは難しい)
え、どっち?こっち!
というのをひたすらやっていくうちに、
本能的なものが興奮してくるんだろうね。
自分は正しい選択をして、
生き残っている、というサバイバル本能みたいなやつがね。
もちろん、
アクション映画やサバイバル映画のようなものだけでなく、
人生を生きていくうえで、ジレンマの状況を突破することは、
とても興奮するものだ。
自分の人生じゃないんだから、
選択をわざとつくり、
それを突破する娯楽を考えるのだよ。
我々は椅子に座って安全圏からあーだこーだいう娯楽をね。
2026年04月09日
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