企画のやりかたの一手法。
あるテーマを先に考える。
テーマとは名詞ではなく、テーゼの形をしているべきだ。
つまり、「〇〇〇〇」ではなくて、
「〇〇〇は〇〇〇だ」というような、命題、ないし主張の形をしているべきだ。
たとえば「女は子供を産むべき」でもいい。
これに対して反論を考えよう。
「それは前時代的だし、女の自由を制限している」などのようにだ。
それに再反論しよう。
「女の幸せを知らないなんてもったいない」
「そんなことをしていたから、少子化が進んでしまったのだ。
二人生んでようやく現状維持なのに、三人産まないと日本はしずんでしまう」
などのようなものもあるだろう。
「それはわかるが私の人生ではない」という個人的な反論もできる。
で。
もっといろんな論を続けられるよね。
そして、
「主人公はどの立場か」を決めるんだよ。
「女は自由であるべき、それが個人の人生」というのは、
少し前の時代の主張であって、
そういう女像が流行ったけど、
今それをやると「自分勝手すぎない?」ってなるような気がするね。
「チャンスが来れば産みたいが、産ませるだけの男に出会ってない」
ってのは、少し前の感覚のような気がする。
「じゃあ、今の感覚って何?」を、
もっと鋭く追及していくわけ。
「仕事はするけど、子供も産みたい。
過度な幸せではなく小さな幸せでいたい」かなあ。
でもこれだと普通の話になってしまうから、
「そんな女性たちのための、保育園を立ち上げる話」
は面白そうじゃない?
とか考えるわけよ。
そこで調べものをするんだね。
保育園ってどうやったらつくれるの?とか、
実際に新しい保育園をつくった人に話を聞きに行くとか、
抽選にあたった人や漏れた人に話を聞きに行くとか、
保育園に預けられない人はどうしてるのかとか。
ぶっちゃけいくらかかるのか、とか。
それで書けそう、と分ったら、
「リストラを機に女性(と自分の未来の子供)のために、
保育園を立ち上げる女の話」
なんてつくれそうじゃない?
などと思うわけ。
で、敵や味方を配するときに、
上でやった議論を使うんだよ。
敵はどういう主張をしてくるのか、とか、
味方はどのような本音を持っているのか、とかだ。
二つの陣営で、A側、B側、と極端に分けられる場合もあれば、
どちらにも分類できない意見もあるだろうね。
そうやって保育園が立ち上がり、
色んな反対運動(子どもたちがうるさいとか)があって、
それらを乗り越えていくストーリーなんてのは、
作れそうな気がする。
今、みんな何に関心があるの?
今、みんなどんなことを心の奥底で思っているの?
その、集合的無意識にリンクを張ろう。
その、どれが主人公っぽい考え方だろうか?
多数派とは限らない。
多数派を巻き込んで世の中を変えていけるような、
そんな少数意見でもいいよ。
主人公はどういう考え方ならユニークで魅力的か、
という観点から、
上で出た主張たちの中から選んでもいいし、
創作してもいいかもしれないね。
たとえば極端に言えば、
「女は専業主婦をするべきだ。
会社員の8時間週5日の労働は、
専業主婦がいる前提でのシステムである。
そんなキツイものに夫婦とも取られるのはナンセンス」
という主張をさせてもいい。
もちろん大勝利ではないが、
「一定の理」はある。
そうやって、主張の解像度をあげていくわけだ。
テーマが主張であるべき、
というのは、こうした架空の議論ができるからだ。
説得しろ、反論しろ、相手をやりこめろ、
架空のディベートをするのだ。
そしたら、そのディベートがまんま作中の議論になるに違いない。
一人でこれをやることは難しいかもしれないので、
複数の企画会議でやるといいかもしれない。
ディベートの相手をお願いしていいですか、
でもいいと思う。
どんな主張が世の中にあるのか、
新聞の投書欄(論がしっかりしている)から探してもいいし、
ネット(論が立っているとは限らないがエッジは立つ)
から引っ張って来てもいいだろう。
そうしているうちに、
「ある価値観を代表するキャラクター」なんかができるかもしれない。
主人公とその人が、どこでどうやって対立するかを考える。
保育園だったら、
園長と副園長で考え方が微妙に変わり、対立するかもしれない。
母親にそのキャラクターがいるかもしれない。
あるいは、保育園反対運動の地域住民代表に、
その人がいるかもしれない。
どういう人がそのストーリーに出てくるかは、
あなたがきめて良いのだ。
議論の熱が強ければ、
キャラクターを強くすることが出来そうだ。
でね。
ここからがようやくあなたのストーリーテラーとしての出番だ。
その主張のぶつけ合いを、直接するのはまだなんだよ。
もっと違うところからストーリーにするんだよ。
保育園をつくる話だとしたら、
保育園をつくるために議論するのではなくて、
借金を背負う話とかにするわけ。
借金を返すために保育園をつくる一石二鳥の話にしておいて、
メインは借金話をつくるのだ。
だけど、保育園をつくるときに、
対立や喧嘩をすることがあり、
そのときに、子育てに対する女の考え方がぶつかる、
みたいに、本音はこう考えていた、
という喧嘩をするといいんだよ。
ガワは借金の話、
しかし中身は子育てと女の話、
みたいにガワと中身を変えるといいんだね。
それをつなぐのが、この保育園である、
のようにしていくと、
話が輻輳化して、複雑になっていく。
保育園と関係ない人に、
子育てに関するハッとした視点を持つ人物がいるかもしれない。
単純な、「女と子育てについて」から始まる議論だと、
こうはならない。
最初に、テーゼ型式、主張型式にすることで、
反論をつくり、再反論し、
別の主張を混ぜ、
「議論」することができるようになる。
何を言ってもよい。
それが主人公である必要もない。
何かを言って議論に波紋を起こして、
どういう全体の波紋として取り上げるかを考えるとよい。
社会問題に敏感な話、といっても、
別にそれそのものを扱わなくてもいい。
保育園じゃなくて、バーをつくる話でもいいんだよ。
仕事に疲れた女たちの息抜きバーみたいなやつ。
子供預り所つきでもいいよ。
それが新しい保育園の形になるね、
みたいな話でもいいんだ。
人は違う。
違うということは、主張や判断基準や、
立場や哲学が違うということだ。
どう違うかは、議論させてみないと分からない。
どういう議論があるかは、
議論させてみないと分らない。
だから、まずさせてみるといいよ。
で、その議論がおもしろく、強く、白熱しそうだと思ったとき、
それをストーリーにできないか?と考えるとよい。
主張と主張のぶつかり合いになったときに、
強いぶつかり合いになるぞこれは、
というのを見つけたら、
それを中心として、別のガワをかぶせると、
おもしろくなると思うよ。
じゃあ、どんな皮をかぶせようか?
というのは、センスだ。
さて。今何が問題だろうか?
今何に対してみんな議論したいし、
あれこれを考えているだろうか?
政治か?社会か?芸能か?
関心はなんだ? ツイッタートレンドは?
なんでもいいんだよ。
世界は今何を考えているかを探ろう。
あなたの関心と、世界の関心はどう違うだろうか?
そのトレンドはいつまで続くだろうか?
半年くらいのスパンならドラマがいいし、
数年単位なら映画がいいかもしれない。
一週間しか持たないなら、
ネット漫画がいいかもしれない。
2026年04月10日
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