2026年02月27日

手に汗にぎりすぎ(「FALL/フォール」評)

俺高所恐怖症なんだよ。
もう手に汗握りすぎてヌルヌルだよ。
ウェットティッシュ何枚使ったか。
後半は何かに捕まってないと怖くて見れなかった。

ワンシチュエーション脱出スリラー。
映画は原始的であるべき、という格言を見事に利用。
いやー、お見事な映画でした。

これは新たな名作の誕生だ。
全然知らなかったので、まだ見てない人はぜひ見て。

しばらくネタバレ無しでいきます。


あらすじは簡単で、
冒険女2人が地上600mのテレビ塔に登るけど、
頂上ではしごが壊れて取り残されて、
どうやって助かるの?というやつ。

もうね、怖くて怖くてしょうがない。
これは映画だ、主人公は助かるんだ、
と思ってても、本能的な恐怖がとにかく怖い。

登り切るまでが退屈かと思いきや、
そこも怖い。
インサートカットがうまいのよ。
鉄が錆びてたり、金属部品がカタカタ鳴ったり、
塔の外にはしごが出てるところからは柵がないし、
もう手に汗握りすぎて、
俺の手汗で彼女が滑るんじゃないかと勘違いするくらい。

変なバーチャル映画よりよっぽど怖い。

なぜ怖いか?
「落ちるかもしれない」っていうのは、
俺たちの中の想像力だから。

つまり想像力がある人ほど怖い、
っていう仕掛けになってるのね。

ドローンでYouTube用の素材撮るシーンでも、
ドローンがギリギリのところに着地して、
ちょっと押したら落ちそうな位置なのよ。
それだけで怖い。

手で手を掴むところでも、
ゆっくり滑ってて、それだけでも怖い。

足場が下に抜けるスリットタイプなので、
スマホが縦に落ちるんじゃないかって勝手に想像しちゃう。


そう、出るぞ、出るぞ、と思わせて、
出ない幽霊みたいな演出だね。
それがめちゃくちゃうまかった。



あとは伏線と昇華の使い方が見事。
これは脚本の教科書に乗るレベル。

以下ネタバレで。









まさかの親友死んでたどんでん返しはすげえって思ったよ。

浮気してたは実はこのためのミスリードだったんだよ。
1回派手な方向に振って、
先を読ませないためのミスリードだったんだ。
すげえよ。
浮気してたことで、2人の絆がぎくしゃくしたもの。
そのぎくしゃくがあるから、
少しあいつが不自然でも気にならなかったもの。

そこからの、充電するために応援してた親友は、
幻影だったってすげえ展開。


ブラをクッションに使う、
YouTube用のドローンを使ってヘルプを呼ぶ、
励ます為の馬鹿馬鹿しい歌ピーチパイ、
充電方法がファミレスでの盗電方法、
ちょっと足が足りないから彼にもらった指輪を使う、
適者生存からのハゲワシを食う。

なにもかもがうますぎる。

そして親友の死体をクッションにして下に落とす。

ラストのラストでそんな方法をよく思いついたなーって感じ。
これぞどんでん返しのアイデア勝利だ。


俺こんなの書けないよ。
想像するだけで無理ってなっちゃう。

映画の撮影だからってわかってるのに、
柵もない、下がす抜けになってるあの足場で、
足をぶらぶらさせてるだけで怖いもの。



映画は原始的であるべき、
高いところは問答無用で怖い、
そして想像力で怖がらせる。
そのガワに対して、
どんでん返しの仕掛けを持ってきたうまさの光る、
ワンシチュエーションスリラーの最高峰(600m)の1本。
ソウ、CUBEに続いてマスターピースの中に入れていいんじゃない。
posted by おおおかとしひこ at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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