2026年02月27日

邦題はそれでよかったのか(「FALL/フォール」評2)

自分が担当ならこのタイトルはつけない。
宣伝で見たとは思うけど、
見ようと思わなかったもの。

つまり、この映画の本質的な価値を、
タイトルで表しきれていない、駄タイトルだ。

じゃあどうするべきか。
ネタバレに触れた上で議論しよう。


英語のタイトルは簡便なものを良しとする文化がある。
日本語はそうではない。

告白、爆弾、悪人、怪物、など、
最近の映画にはそういうものもあるけど、
全然いいと思わない。
覚えられないからだ。

単語自体は覚えられるよ。
でも、内容と関係して覚えられないのよね。
だから、短期記憶にしか残らず、
長期記憶化しない。

せめてライムライトのような、
二単語なら関連付けて覚えやすくなる。
あー、映画の話よね、くらいまでは記憶できる。

ことばが持つイメージの量が、
告白とかフォールとかじゃあ、
小さすぎで無理なのよ。


ちなみに「告白」は、
ふつう男女間の告白だと思わせておいて、
犯罪の告白だからおもしろいんだ。
タイトルがミスリードになってるから、
その不気味性がどんでん返しになってる。
でもそれは短編だった第一章までで、
そのあとは「告白」だったかなあ。

「怪物」は、
「怪物だーれだ?」まではそうだったけど、
後半怪物関係ないよね、になってたね。
だから全然記憶に残らなかった。
嵐のバスの中、なんだっけ。
怪物関係なくない?


じゃあ「フォール」は?
落ちそうで落ちないから、
落ちてはいないじゃん。
そこがまず変なのよ。

でも実際には、
スマホを落として助けを呼び、
ドローンを落として助けを呼び、
親友は堕落し(これはかけてるか微妙?)、
そしてほんとうに親友を落とす。

それをフォールという言葉で、
ひっくるめられたかは微妙だ。

全てが終わった後にテーマを最後に語るんだけど、
人生を一瞬一瞬生きるんだ、
みたいな話はいいんだけど、
なんでそれを「fall.」で終わらせなかったのか、
僕には意味がわからないのよ。

あれ?最後にfallで締めなかったぞ?
って、俺巻き戻したもん。

そしたらタイトルはフォールでいいと思う。


でもそうなってないから、
微妙だなと思った。


自分が担当だったらどうする?

「600m」かな。

高さだと分からないから、
たとえば「スカイタワー600m」かしら。

B級的に、「絶望600m高」でもいいかもな。

これは全部シチュエーションを強調したものだ。


「600mの適者生存」と、
テーマにするよりもいいかもね。

「FALL」という原題のセンスよりも、
もっといいセンスのタイトルにするべきだ。
それって配給側にいいコピーライターがいないからだ。

(昔宣伝部が「火星の人」を映画化した、
The Martianの邦題を電通のコピーライターに依頼したらしい。
それが「オデッセイ」ですってよ。電通も落ちたものよ。
電通って中身がないのをプレゼンで誤魔化せる、
口のうまさで生きてんの?)


ついでにポスタービジュアルも下手。
横から見たって高さの怖さがわからんやんけ。

あの柵がないスリットの足場越しに、
足と下を見てる絵で十分でしょ。
親友がロープ付きで落ちてて、こっちを見てるだけでいい。
主役は顔が映らないけど、
スター映画じゃないからいいと思う。
その怖さだけで伝わるよ。

そしたらタイトルは「絶望600m」でいいかもね。



あ、思いついた。
「地上600mのバディ」。
これなら伏線になってる。
posted by おおおかとしひこ at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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