M式、漢直、ともに「途切れつつある伝統芸能の継承」
みたいなことになってると僕は感じる。
M式はもう死んだか。
誰もそのリアルな姿を知らない。
動画もマニュアルも動態保存も残っていない。
開発者の森田氏が亡くなってからは、その紹介ページも消えた。
そこで母音-kや母音-tの存在を知ったのであった。
配列図は残ってても、
つい昨日SKK的だったのかよって知ったくらい、
「真の姿」を知るすべがない。
まだギリギリ当時のオペレーターが生きてるかもしれないが、
「消えゆく方言の録音」みたいな大変な事をしない限り、
その証言を集めることは難しい。
だからM式はもう死んだかな。
誰も復活させられないだろう。
漢直はどうだろう。
M式ほどは広まってないかなあ。
知る人ぞ知るみたいな、
秘密伝承みたいな空気があった。
岡さんの発信によって、
ようやく漢直WSなるものがあるのを知って、
なんとなく自分でgoogle検索して、
色々と調べ始めた。
僕がKIHで動画を撮らせてもらって、
ようやく秘密のベールを脱いだ感じになった気がする。
それまで、
「どんな感じなの?」の、
想像もつかなかったからだ。
たとえば右利きの人は、
「左利きの人がどうやって文字を書くの?」を、
イメージできない。
周りに左利きがいて、
それを観察してはじめてその実態を知ることができる。
その時に初めて、
「左利きで横書きすると、
手の小指側にめっちゃ鉛筆の粉がつく」ことを知るわけだ。
これを見ない状態で想像することはまず無理だ。
想像にはたくさん死角がある。
マジシャンや作家はそれを利用する。
人の想像力はスペック的には無限であるが、
見たことのないものを想像するのは、
多くの人には困難だと思う。
漢直を使ってる人には当然でデフォになっていることも、
その人がいないとわからないことは、
かなりあると思う。
たとえば僕は漢直の打つリズムは、
もっと速いと思ってた。
ローマ字やカナ配列しか知らなかったから、
そのリズムを想像していた。
だけど思ったより遅かった。
よく考えてみたら変換の時間がいらないので、
最終完成時間を考えれば、
打鍵リズムは遅くても全然いいわけだ。
僕は数字段をブラインドタッチできないのだが、
この速度でいいなら数字段打てそう、って思ったんだよね。
僕にとっての数字段は、
薙刀式なみの速度でなければならないので。
こんな風に、ひとつわかれば、
関連してほかのこともわかったりする。
それが「理解」というものだと思う。
で、漢直はいまや伝承の危機に瀕している。
M式にどんどん近づいていると思う。
もしATCがなかったら、
漢直の打鍵動画なんてつくられないまま、
死ぬのが早まったのではないか。
おー、漢直ってすげーんだな、
と、ようやく日本中が知ったのではないか。
使用者を増やす事が漢直の目的ではないかもしれないが、
新規流入者がいなければジャンルは死ぬので、
死なないためには知られなければならない。
そのうえで、
合理的である、すばらしい、取り入れるべきだ、
と思った人があとを継ぐだろう。
あとを継ぐときに、
すでに失伝してしまっていることがあるならば、
すべてを再現することはできないだろう。
タイピングは知識ではなく身体技能である。
知識で打つよりも何十倍もすばやく、
運動神経で打つものだ。
僕は武術の伝承や、スポーツの教え方や、
楽器の教え方に近い話だと考えている。
その神経回路のつくりかたを、
漢直は伝承してるだろうか?
僕が調べた範囲ではさっぱりわからなかった。
EELLLなるものがあるのは知ってたが、
やはり分からないことに変わりない。
そしてそれがどのような教程になってるのか事前に知るすべがないし、
練習を俯瞰する方法がないので、
いざやるには何年も真っ暗なトンネルを進む必要がある。
そんな正解の分からないことに、
人は資源をつっこまない。
参考になるのは、
「ピアノの演奏法」「ギターの習い方」
「肩こりのとり方」「サッカーがうまくなるには」
「野球入門」みたいなことだ。
教本でまとめたもの、動画で教えるもの、
たくさんあるだろう。
このワードでぐぐればYouTubeでは死ぬほど見れる。
競技人口の多さももちろんあるが、
これくらいわかりやすいものと、
私たちは並べられるのだ。
興味があるがやり方が分からない人は、
そういうものを見て勉強する。
そのわかりやすい勉強方法を、
新配列側は提供できてるだろうか?
僕はそう考えたので、
薙刀式の紹介ページとマニュアルと、
打鍵動画は、きちんとやったつもりだ。
何も知らない人がたどり着いても、
ひとりでなんとかできるようにしたつもりだ。
たとえ火星であっても、
宇宙人であっても、
日本語が分かりWindowsとネットさえあれば、
一人で独習できるようにしたつもりだ。
その成果?か、
薙刀式を使う人は徐々に増えている。
僕が今日突然死んでも、
薙刀式は資料を見れば再現できるから、
それが良いと思う人は再現し続けられるだろう。
親指シフトはそうなっていない。
新下駄は、kouyさんのブログと、
残っている打鍵動画があれば、再現できそう。
飛鳥はどこの情報が正しいのかわからないが笑、
最終配列図と親指シフトの情報から、再現できそう。
新JIS、月は微妙だな。
これが最高の状態である、がわからないので、
これでいいのかな、ってなるかもしれない。
シン蜂蜜小梅も、動画がないのでいったいどんな感じかは不明だろう。
その他の、いろんな新配列たちは、
「誰でも再現できる入口、階梯、
完成形のイメージ
(もちろん真の完成などないのだから、
これくらいで一人前想定の、いわば初段のイメージ)」
を、
残すべきだと思うな。
Twitterはさすがに流れていくのであやしいので、
最低でもブログかしらねえ。
githubはgoogleから検索できないし、
普通の人がたどり着くことはできない。
僕がT-codeの知識を知ったのは、
http://openlab.ring.gr.jp/tcode/intro.html
によるものが大きい。
あとは他人の証言とかを収集した感じ。
前田さん:
> 補助機能あってこそT-Codeは実用品たり得ます。補助機能にも工夫があるので、除外しないであげてください。部首変換用テーブルや交ぜ書き用の辞書はT-Codeのために作られました
それは今知ったなー。
「T-codeとは、
無連想2ストローク、
部首変換、混ぜ書きを使い、
変換なしで日本語を打っていく漢直方式である」
と、説明されたことないもの。
そして打鍵動画も存在しなかった。
また、打鍵動画の問題点なんだけど、
熟練者の打鍵ほど速くなってしまい、
素人が理解する前に次行っちゃうのよね。
だから、ただ打ってるのを素撮りしてもあまり意味がなくて、
「これはこうやって打つんだぜ」
「これはこうやって使うんだぜ」という、
部分的な解説がないと、
理解には達しないと思う。
俺、日本で一番漢直の動画を見た男の1人だと思うけど、
部首変換の使い方全然分からないもの。
どういう仕組みなのかとか、
キー操作を調べたくても、
調べようがない。
今「T-code 部首変換」でググると、
漢直アドベントカレンダー2025の記事がヒットする。
https://ujimushisradjp.hatenablog.jp/entry/2025/12/02/000000#:~:text=%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E5%85%A5%E5%8A%9B%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6,%E3%81%8C%E7%94%A8%E6%84%8F%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82&text=%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E4%BA%8C%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%8C%E7%94%A8%E6%84%8F,%E3%81%99%E3%82%8B%E5%BD%A2%E5%BC%8F%E3%81%8C%E5%A4%9A%E3%81%84%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
これにしても、仕組みや操作法までわからないので、
「知らない人が頭の中でシミュレーションして、
良さそうと思う」までは到達していない。
次にヒットするのは、
http://www.ki.nu/~makoto/tcode/what-is-tcode-by-maeda.html
だけど、どうも違う方法らしい?
となって混乱する。
カタカナの話は出てこなかったし、
リンク先にあるものまでチェックするほどの情熱はなくなってしまうねえ。
法則性を知りたいのであり、膨大な例から特性を抽出するのは、
俺がやんなきゃいけないのかよ。
じゃあ実際に部首変換してる様を探そうにも、
打鍵動画でその瞬間が来るまで待ち、
「ここ!」って止めないとわからないので、
そんな根気はないな。
そこまで部首変換がT-codeにとって本質的だとは知らないから、
まずその辺で適当な理解にしていたね。
混ぜ書き変換にしても同様だ。
僕は今までIMEは混ぜ書き変換にそもそも対応してると信じていた。
そうじゃないと知ったのは、
自分で直接漢字をIMEに投げて変換キーを押した瞬間、
つまり去年の秋だ。
じゃあそれをどういう仕組みで実現してるのか、
をどう調べればいいのかもわからないので
(そもそも僕は小説を書きたいのであり、
そのためにIMEの仕組みを知りたいのではない)、
放置しているのが現在だ。
.dicがユーザー辞書の拡張子で、
単語登録辞書らしいと知ったのは去年の同じ頃よ。
それまで僕はユーザー辞書使ったことなかったもの。
素人とはそれぐらいである、
というのを、
新配列の作者はほとんどしらないのかもしれない。
検索して出てこないものは知りようがないよ。
そしてそもそも打鍵は知識よりスポーツに近い。
動きで理解したいのに、
動画が皆無なので、
そこで理解を止めてしまう。
もちろん情熱があればそこからさらに掘るが、
ここに金鉱脈があるぞと確信はまだしていない。
M式は、キーボードの発売停止とともに死に向かい、
そして死んでいった。
親指シフトも新規流入がなく、
オリジナルキーボードは黄ばんでいる。
自作キーボード勢が気を吐いても、
打鍵動画がほとんど出てこないよなー。
さて、新配列はどうだろう?
自分が明日死ぬとして、伝承されるだろうか?
再現されるだろうか?
たくさんの職人芸や伝統工芸は、
もう二度と再現できないんじゃないかしら。
「大和の主砲をつくった旋盤は、
失伝を防ぐために動態保存している」
という話を聞いたことがあるが、
今でもそうなのかしら。
せめて記録を残して、再現できるような形にするべきでは。
薙刀式はまだ普及のフェーズではあるが、
使用者が減ってきたら保存のフェーズになるかもしれない。
親指シフトの杉田さんは、
「消えゆく」とおっしゃってたが、
消えつつある焚火を眺めたいかどうかは、
それぞれが決めればいいと思う。
2026年03月12日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック

