2026年05月09日

ストーリー、キャラクター、テーマのトライアングル

この三角形を意識すると、
自分の脚本のどこが足りないか、あるいは過剰すぎるか、
をチェックしやすいかもしれない。


ストーリー、キャラクター、テーマは、
それぞれ強くあるべきだ。
何かが弱いと物足りない。
同じ程度に強く、正三角形を描きたい。

何かが足りないとどうなるか。
以下のようなものに当てはまるなら、
それが足りないかもしれない。


ストーリーが足りなくて、
キャラクターとテーマがある場合。

魅力的なキャラクターや名セリフは書けていて、
現代的なテーマを扱っているかもしれない。
しかし、頭から尻まで平板な場合は、ストーリーが足りない。
つまり、起伏や障害が足りない。

逆に多すぎるかもしれない。
多すぎるときはひとつひとつが細かくて小さいから、
うねりが足りない可能性もある。
サブプロットはどうか。
多いか、少ないか。
多いとメインストーリーがぼやけるし、
少ないと一本道で退屈になるだろう。
メインテーマは語れているとしても、
それに重要なサブテーマになるものが足りないなら、
その問題について語りつくせているとはいえないかもしれない。


ストーリーとテーマは出来ているが、
キャラクターが足りない場合。

論文みたいになっているのではないか。
教科書的、といってもよい。
理屈と道筋が分りやすくできていたとしても、
「感情が震える」ことが少ないのではないか。
こういう時は、
キャラクターに魅力がなく、
感情が七色になっていない。

笑う、泣く、怒る、何も言えない、
叫ぶ、
などなどの、強い感情に観客が支配されるようにしなければ、
娯楽を見る意味がない。
論文を見るわけではないのだ。

魅力的なオリジナルキャラクターがいないなら、
それは見る娯楽になっていない可能性が高い。
心が震えないならば、
心から求める物語になっていない可能性が高い。

人間を観察して、興味深いキャラクターを創作して、
そのストーリーの中に放り込むべきだ。
良いセリフや緊迫感が足りていないなら、
完全にキャラクターが負けている。


ストーリーとキャラクターが出来ているが、
テーマが足りない場合。

面白くて爽快で、
起伏のあるジェットコースターに乗った気分にはなるが、
映画を見た気がしないものは、
テーマが足りていない。

テーマに落ちたときの、どすんと腹に残る存在感がないわけだ。
これは、そもそもストーリー全体が、
あるテーゼPを証明しようとしているものになっているか、
を考える必要がある。

なぜPだといえるのか、Pの反対じゃだめなのか、
Pと似ている結論じゃだめなのか、
Pと関係あるテーマは証明できているか、
など、「ほんとうにPだなあ」と思えるように、
ストーリーが組まれているか、
ということだ。

Pの反対の結論にたどり着いた場合、
人生を犯された気がするように組んでもよい。
背理法みたいな感じだ。

多くの場合、Pの逆から始まって、
最終的にPだと言えるものにたどり着く。
反対を超えて、Pになるさまに、
人生とはPのようなものだ、
と心底関心できるように、
ストーリーが組まれているべきだ。

そしてキャラクターが何も言わなくても、
Pだ、とみんなが思えるものが、
テーマが出来ているということだ。


これらは三角形に足りていない、
二角形(そんなものはないが)の場合について記述したものである。
3つのうち2つは出来ている、という前提だ。

だがさらに出来ていないものの場合、
一角形になっているかもしれないね。
とすると、2つ足りないということになる。
1つしか出来ていないものは、
それが突出した長所に見える可能性があるが、
よくよく考えてみると、
それは良いが他が満足感が残らない場合が多い。
激辛はいいんだけど、
栄養が足りていないジャンクフードみたいなものだ。
それは完全なものではない。
激辛で、栄養が豊富で、しかも満足しなければならないわけだ。

ストーリーはいいか?
キャラクターはいいか?
テーマにきちんと落ちて深く感動するか?

あなたはどれが突出しているだろう?
そして何が足りないだろう?
足りないものを分析して、
強化することを考えよう。


もしそれが苦手な何かなら、
弱点を克服するために、
いくつかの短編を書くことをやってもよい。

テーマが弱いなら、
テーマに落ちるための構造の練習を、
短編でやるとよい。

キャラクターが弱いなら、
魅力的なキャラクターだけが出る短編を書くとよい。

ストーリーが弱いなら、
どんでん返しや複数プロットが同時進行するような短編を書くと良い。

一本じゃ足りなくて、
何本かやるといい。
そうすると、こうするといいんじゃないか、
ってなんとなく分ってくる。

足りないものを補充するのに、
一か月では足りないかもしれない。
何年もかかってようやくうまく三角形ができるかもしれない。


あなたは何が足りていないのか?
どういうものなら満足するのか?

一番贅沢な観客になれ。
世界の名作の中で、
それが一番整った三角形になるイメージで、
リライトをするのである。
posted by おおおかとしひこ at 11:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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