2026年04月08日

【薙刀式】フェイルセーフ

僕がこの概念を知ったのは、
事故防止のヒューマンエラー研究。
チェルノブイリ原発事故が操作ミスで起こった、
その原因究明の話。

そこから生まれたのが、
「うっかり間違いやすいシステムをつくるのは間違い。
無意識で、集中力が途切れても使えるシステム、
重大な間違いを起こしにくいシステムをつくるのが、
賢いやり方。
そしてそれはスマートであればあるほどよい」という思想だ。

これをフェイルセーフなどと呼ぶ。


たとえば警察や刑務所では、
部屋から廊下に出る扉は、
すべて内開きに設計されている。
犯人が体当たりでドアを開いて逃げないためだ。

逆に多くの施設の非常口のドアは、
すべて外開きになっている。

核ミサイル発射ボタンの上にカバーがあるのも、
うっかり押さないための設計だ。
さらに鍵が必要だったりね。

「本当に削除しますか?
アンドゥできないですよ?」と、
「はい/いいえ」を聞いてくるシステムもフェイルセーフ設計だけど、
ぼーっとした作業中はただただエンター連打したり、
左のボタンをクリックしがちなので、
「いいえ/はい」の順に出した方が、
より事故を防げるよね。

シュレッダーは、
わざとモーター音を大きくしたり、
バリバリ出る音を大きくしてるという話も聞いたことがある。
「取り返しのつかないこと」を強烈にイメージさせるためだ。
あるいは「危険」を訴えるためだ。
ネックレスが巻き込まれた死亡?事故もあったそうだし。

最近電気自動車が増えて、
後ろから近づいてくるモーター音が小さくて、
ビビること多いよね。
それを知ってか、最近のモーター音は、
わざと大きくしてるという話は聞いたことがある。
静粛性だけが正義ではないデザインだ。


そうそう、昔薙刀式で、
「やゆよ」が並んでる方が規則的で、
拗音時に打ちやすいのでは、
と横に並べたバージョンもあった。
だがなぜか混乱してうまく打てなかった。
とっさに動く時は、
「全然違う動作にするべき」という、
基本を学んだものだ。

仮に車の運転で、
アクセルとブレーキとハンドルが、
ASDFに並んでいたら、
咄嗟には絶対間違いそうだ。

実際のチェルノブイリの操作パネルや操作法までは調べてないけど、
たぶんASDFに全然違う機能が並んでて、
緊急時にアンドゥしにくい仕組みだったのだろう。



僕は、すべての道具はこうした熟慮が必要だと考えている。

咄嗟にやって間違えた道具は、
いずれ淘汰されるだろうという考え方もあるが、
qwertyローマ字みたいなうんこ道具がまだ淘汰されないので、
淘汰速度は大したことない速度かもしれない。
目に見える重大事故が起こらない限り、
調査して改善勧告をしない人類さんにも問題がある。


グッドデザインは、逆に無意識で使ってるので検知されにくい。

「こちら側のどこからも切れます」

「ハンバーガー屋にある、
ケチャップとマスタードが別々に入ってて、
グニュッとやったら両方から出るやつ」

「アクセルとブレーキが別の足担当で、
曲がるハンドルは手で回すという、
部位と動作が異なる運転システム」

「車のハンドルは遊びが少しあることで、
しばらくまっすぐ走るのをキープすること」

「無臭の都市ガスにわざと腐ったタマネギの悪臭をまぜたこと」

「水道のカランで上下で出す/止めるを操作するタイプは、
『上にすると出す』にしたこと
(かつては直感通り『下で出す』だったが、
阪神大震災以来、上からものが落ちてきて出しっぱなしになることがわかった)」

「プレス機で、両手で両側のボタンを押さないと動かない
(手がよく巻き込まれるので)」

なんかは、
いいデザイン(=設計)だと思う。

デザインが「見た目の美しさを整えること」と誤解されて、
「動線の無意識を設計すること」と捉えられていないので、
実はこの事をあらわす日本語がないんだよね。
設計だと、他の意味までからむし。
構造設計みたいに○○設計と部分集合にすればいいのかな。
動線設計、無意識設計じゃあ微妙なんよな。
スマホとかでようやくUI設計とか言い出したけど、
日本語にうまくしたいところだ。



論理配列にも、
そういう要素があってしかるべきだ。

大西配列の、清濁半濁の縦置理はグッドデザインだ。

僕は薙刀式の「すべて同置」は、
かなり優秀なシステムだと思うけど、
まあ無意識になったら意外と意識されないよね。


僕が漢直を作るならそういうシステムがいいと思うんだけど
(なぜなら覚えられる気がしないし、
絶対にすぐ忘れるから)、
まだ革命的なアイデアまで来ていない。

「そのカナから始まる漢字」は悪くないが、
動線設計がうまくいくかはわからない。
単字だけで存在するわけではなく、
漢字は熟語としても存在するからね。

薙刀式に依存しすぎてる嫌いもあるが、
他のとっかかりが、
画数順、部首順、読み順(どの読みなのかこちらから分からない)、
頻度順(頻度表が不明だ)、
くらいしかないので、
それよりはかなりマシ?


工学というのは機能や耐久性やコストを設計するだけではないと思う。

こうした「使う設計」をしなければ、
道具としては不完全だと思う。


ひとつ最悪のデザインを。
電通本社ビルはフランス人の設計なので、
車づけが全部右側通行前提で設計されてます。
だからタクシーつけづらいし、タクシー乗り場は大混乱。
施工したやつバカだろw
新橋に寄った際は是非生ける悪デザインを見に来てください。
qwertyローマ字と同じだぜ。
posted by おおおかとしひこ at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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