もし一つのジャンルばかり書いている人がいるなら、
ショートでいいから、
まったく別のジャンルをやってみることをお勧めする。
若い時期でもいいし、
実は年を取ってからでもいい。
そういうものをまず書いてみることで、
「世の中には別のあり方があってよい」
と認識することができる。
シリアスなドラマしか書いたことのない人は、
コメディを書いてみるといい。
こんなふざけた、そしてのほほんとした、
「生きてていいんだ」と肯定してくれるジャンルはない。
逆にコメディしか書いたことのない人は、
救いのない話を書いてみるとよい。
「世の中を真面目に語るとは、
こういうことか」を知ることができる。
恋愛ものばかり書いている人は、
ミステリーを書いてみるのはよいことだ。
殺人事件のトリックや、陰謀がある世界は、
人間社会のあり方が異なるだろう。
男が主人公の話を書いている人は、
女が主人公の話を書いてみるとよい。
世界が異なるだろう。
人間に飽きたら、
ロボットや犬の話を書いてみるとよい。
見えている世界が変わって来るだろう。
フラットな世界しか書いた事がないなら、
人に上下のある世界を書いてみるといい。
フィクションでは、何にでもなれる。
それは、見ている人だけでなく、
作者自身もそうだということだ。
世の中にはいろんな人物になりきって、
いろんな世界になりきって、
フィクションが展開されている。
だから、いつものあなたのものであろうが、
やったことのないものであろうが、
どんなものでも受け入れられ、
そしてこれまでの作品と比較される。
その中で、出来がいいかどうかが判定されるだけだ。
あなたが得意なジャンルが、
他の人も得意で、
それらの位置づけとしてはあなたは下の方かもしれない。
他の人が苦労してなかなか書けないジャンルを、
あなたは3日で書いてしまうかもしれない。
得意なことと、
求められていることはちがうかもしれないし、
あなたしか出来ないことは一つじゃないかもしれない。
何か分らないから、
試すとよいのである。
それで失敗したら、隠しておけばいい。
たくさんたまったら、
失敗集としてまとめておくと良い。
自分は、こっちじゃないと分ることができる。
で、ようやく本題かな。
失敗したものは、
「別のジャンル」で生かすことができるんだよ。
ヒーローものを書いているときに、
まったく別のものを入れ込んでもいいわけ。
法廷ものや医療ものを入れてもいい。
家族ものなのに、恋愛ものを入れてもいいんだよ。
ジャンルは複層化していいのだ。
○○ジャンルという型にはまるものとは限らないのだ。
だから、
メインディッシュとしては○○ジャンルなのだが、
実は隠し味に○○と○○の要素が入っているんだよね、
という味変に使えるということだ。
そのときに、
一つのジャンルしか書いたことがない人は弱い。
たくさんのジャンルを書いてきた人が、
色々応用が出来る。
今度は探偵ものを書かなくてはいけなくなった、
としても、
恋愛ものとバディものの要素を入れて、
味付けを変えるといいのだ。
この味変はよくあるよね。
だから、なるべく今までミックスされていないものがいい。
新しいジャンルができたら、
似たような違うものがよくできるのは、
そうした理由でもある。
自分しか書けないものを書いてたら、
行き詰ってしまう。
書けないものを書こうとすることで、
「これは何がおもしろいのだろう?」と、
よくよく考えるくせがつく。
行き詰まりを突破するのは、
これまでにない発想で、
それは同じジャンルばかり見ていたら生まれない。
横を見て、観察したり、
ためしに書いてみるのが、
一番早い。
知的ミステリーばかり書いてた人が、
アホアホ仮面を書いたら急に化けることだってある。
人は一つではない。振れ幅がある。
書く側も、受け手側もだ。
2026年06月04日
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