そのストーリーの中で、一番暗く、
絶望的なところはどこだろうか?
たいてい二幕後半、
ミッドポイントと第二ターニングポイントの間ほど、
75分のあたりにあると思う。
もちろん、そこだけでなく、
一杯どん底がある話もあるだろう。
どん底は、なるべく希望がないように描け。
なぜかというと、そのあとの希望が気持ちいいからだ。
物語には起伏がある。
そのあと盛り上がると分かってるならば、
絶望は気持ちいいものだ。
だから徹底的に絶望に落とそう。
どん底にしよう。
人生に希望がなく、どうしようもなくしよう。
だから這い上がるのが、面白くなる。
甘いのを味わうために、
一回しょっぱいのを経由するようなものだ。
明るい所に出るために、
一回暗い所に落ち込むのだ。
フラットに展開するなら、
あるいは少々の起伏なら、
あまり上昇の気持ちよさはなくなる。
もっと起伏をつけるためには、
絶望は深い方がいいわけだ。
僕の嫌いな建築家に安藤忠雄がいる。
ある長屋を設計したそうだ。
相変わらずコンクリ打ちっぱなしかどうかはおいといて、
ある部屋からある部屋へ行くときに、
一回外を通らないといけない家だったそう。
冬場寒いだろ、夜どうすんの、
雨の日はどうすんの、
という事はどうでもよくて、
ただ隣の部屋へ行くのに、
「わざわざ苦労する」という設計らしい。
これも、
「隣の部屋へ行くことが希望だとして、
一度絶望に落とす」
というやり方であることは理解できるよね。
ただ、それが家の設計としていいかどうかという議論は全然あるだろうが。
(そしてそんな家に僕は住みたくない)
物語の設計は、リアルではなくてフィクションなのだから、
いかようにでもつくることが出来る。
わざと絶望に落とせ。
そこから駆け上がる熱量が、
物語の熱量になるよ。
(もちろん、そのやり方を思いついてないならば、
絶望は解決不可能な展開になってしまうので、
なるべく避けるべきなのだが)
まずは駆け上がる部分をつくろう。
そうやって足場を確保したら、
そこから這い上がることを前提に、
落ちるところまで落とすとよい。
ホームレスになったりヤクザになったり、
薬漬けになっていたり、風俗をやっていても良い。
明るくて人を信じる子供だった人が、
煤けて疑心暗鬼になっていてもよい。
環境や失敗は人を変える。
そこから逆転するから、
フィクションのストーリーというのは面白いのだ。
(実人生でそこまでうまく行くとは限らないから、
うまく行く方法を残しておくのだ)
2026年04月21日
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