2026年05月16日

【脚本添削SP2026】2: 中身のドラマ

東京から来た転校生。髪ボサボサで形
(空手の「かた」を伝統に従って「型」ではなく「形」で表記します)
がきれい。
大阪弁の野生児。東京人が嫌い(義父がいやだった)。

このドラマに義父いるかなあ?
って思ったんですよね。


単に女子の友情ものにならないかなー、
って思ったので。

義父の要素は「東京人が嫌い」ということ一点なんだけど、
実際の義父との和解のドラマがほぼなくて、
応援されたからよかった、
でしかない。
ここが濃くないので、
「東京人も悪くないな」というところに落ち着いていないんです。

なんで嫌いだったのか。
父の代わりにはなれなかったから。

じゃあ、代わりにはなれないが、
別の父のなり方になる、
というのが普通ですかね。

ヒビキの悩みを解決するとか、
影ながら助けてくれていたことに気づくとか、
何かしら、
「もう死んだお父さんには出来ないけど、
俺には出来ることがあるから」
みたいなところに来ないと、
義父を認めることにならないと思われます。
それが応援だとショボイかな。
当日の弁当作るとか横断幕だと微妙だし、
もう何ステップかいりそう。

そこのドラマが甘いし、
仮によくできていたとしても、
メインディッシュである女の友情と関係なくね?
ってなるような気がしました。

つまり、
東京人が嫌いなのは、
単に言葉がイライラするとか、
かっこつけてるように思えるとか、
生理的な部分だけでも一点押し出来るのでは?
と思ったのです。


東京人がかっこつけてる割に髪ぼさぼさなのが、
伏線として回収されていないのも気になりました。

逆に、髪がまったく乱れないキャラだとどうだろう?
最初から完璧で、
一糸乱れないキャラだったら?
「かっこつけてるわ!」と余計に嫌いになるとしたら?

逆に、「女の子として、ちゃんとせなあかんで」と、
ヒビキがさと子の髪をといてあげる、
という結末に持ってくるつもりだったのかしら?



一番疑問に思ったのは、
この話に「展開」がないことです。

転校してきました、
空手道場に入りました、
いつの間にか強くなってました
(この強くなる過程が中盤のぶあついドラマのはず)、
大会出ました、勝ちました、
(なぜか)友情が出来ました、

と、あった出来事はあるんだけど、
それがなんで?とか、
感動するとかがなかったです。

ああ、こういう友情いいよね、
ヒビキ×さと子最強、
みたいなことになっていない。


最初は反発しあっていた二人が、
喧嘩したり、
相手を認め合ったりして、
最終的には「東京もんも悪くない」
「大阪もんも悪くない」
となるのが理想だと思います。

そこに義父が入るのはあんまり得策じゃない気がします。

さと子と義父が関わるとかしないと、
むずかしいんじゃないかしら。
たとえばさと子が事情を知って、
「ヒビキの応援に来てください。彼女は父親を必要としてます」
と説得するとかね。
でもそこまで深入りされても、
ふたりの友情の邪魔になりそうなんだよな。


15分もあるわりに、
状況を追いかけているだけで、
中核になるドラマがどこにもないのは、
修行するシーンが一切なかったからかもしれないです。
初段を取らなきゃいけないとしたら、
それを「習う」過程がすっとばされている。
まるで結果だけ欲しい若者みたいな。
そこが一番泥臭いドラマになるはずなのに。


この修行するシーンで、
さと子の人生観?(形は美しい)と、
ヒビキの人生観(喧嘩空手のほうが実用である)が、
ぶつかり合い、
そして二人が出会わなかったらあり得なかった、
より良い人生観(現状なにかまだ分っていない)に、
たどり着くのがストーリーというものです。
(対立からの止揚)

試合相手はそのアンチテーゼになるのが理想です。
反則を使う汚いやつ、
というのはよくある悪役ですが、
ヒビキやさと子が頑張っている理想を、
馬鹿にするもののほうがいいんじゃないでしょうか。

反則をする相手なんて、
喧嘩空手の独壇場になるはずで、
それも生かされていないのが気になります。

たとえばもみ合ったときにわざと頭突きを入れてくる、
というのを使うとして、
じゃあ肘打ちを入れるとか、
対抗する手段は空手に沢山あるので、
喧嘩空手ほどそういう野良の技はたくさんあるはず。

つまり、
「二人の何を試されているか」が、
アンチテーゼです。

単に反則をしてくるやつら、
というのは何を試されているか分らないのです。

障害を越えるときに、
その超え方でテーマが示せます。
反則をこのように超えたから、
こういうことが言いたいのだ、
ということになるわけです。


で、これって何がテーマなんだっけ?


つまり、キャラ、出来事はあるけれど、
テーマもストーリーもなかった、
というのが今回の脚本ではないでしょうか。
(ついでにリアリティもか)

では、テーマについて考えて、
逆算してストーリーを組み立てるとしましょうか。
posted by おおおかとしひこ at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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