ギズモードの記事: https://www.gizmodo.jp/2026/05/naginata-ime.html
にはてブロ民がコメントできる仕組みになってるみたいで、
普通じゃ聞けない話があって、興味深い……
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.gizmodo.jp/2026/05/naginata-ime.html
おそらくいくつかの「知られていないこと」があり、
それは僕の周知不足でもあるので、
その事実を周知しつつ、議論したい。
1. qwertyローマ字と新配列は併用できる
このことを知らないと議論の前提が崩れてしまいます。
「新配列をやると前の配列を忘れてしまうのではないか」
「元に戻らなくなるのではないか」
つまり、
「人間が使える配列は一つではないか」
という思い込み、先入観があるように思えますね。
我々新配列使用者の経験則から言うと、
2つくらい全然使い分けられます。
とくにqwertyローマ字と、カナ配列薙刀式のような、
原理が全く違うものは、とくに混ざりにくいことが知られています。
(中途半端に似てる方が混ざりやすい)
なので、
共有環境で標準配列(qwerty)、
限定環境で新配列(たとえば薙刀式)を使うのは、
まったく現実的かと。
たとえば、新下駄配列、大西配列、qwertyローマ字を、
リアルタイムで切り替えて打っている動画もあります。
https://y-koutarou.hatenablog.com/entry/2026/01/11/230250
僕はここまでスッと切り変えられないけど、
物理キーボードを変えるなどすると、
切り替えやすい事が知られていますね。
> ローマ字入力やケータイ打ち、フリック入力など全然違う入力方法ならいいんだけど同じ装置を使った別方法、例えばかな入力とかDvorakみたいなのは無理〜ってなる〜〜
自作キーボードに変えるときに新配列を選択する人が多いみたいですね。
そうでなくても、薄型と普通のキーボードとか、
手触りを変えるだけでも切り替えやすくなったりしますよ。
> 標準ではない効率に最適化しすぎると、標準環境で無様になり、それを避けるため自分の選択肢がかえって狭まる
> 特化型は自己デバイスを使える仕事ならいいが共通環境使う現場だと持込すら禁止で、慣れるほど効率良くなる特化型が足枷になって結局習得負担が重くなるのが辛い。自営業向
> 標準環境と隔絶した最適化は標準環境で難儀するので私はやめた
このへんは、実際には併用を経験してない人や、
併用してみたけど挫折した人の意見でしょうか。
もちろん全員が併用できる保証はないが、
1〜3ヶ月程度の訓練期間で併用できる例が多数報告されているため、
人間にできない芸当ではないことはわかっています。
この期間を長いと見るか、
これからの利得を考えれば投資期間と考えるかの差だと思います。
あるいは、
「もし自由に併用できるとしたら、
ほかにもう一つ使いやすい配列を使うか?」
と問いを立てれば、多くの人はYESと言うのではないかしら。
我々新配列勢の目的は、
qwertyに取って変わって、ただひとつの標準配列の座を奪うことにはないです。
むしろ「標準配列の自由化」。
多様な配列を認め、誰もがOSレベルで新配列を自由に使えることです。
これは筆記具が自由であることと同じだと思います。
日本社会は、小学生がシャーペンを禁止されているような社会ではないと。
何も薙刀式がqwertyローマ字に取って代わろうとしてるわけではないです。
薙刀式とqwertyローマ字を、
必要に応じてOSレベルで自由に切り替えたり、
その他の新配列(300ほどある)に、
適宜切り替えたり、
自分なりのアレンジを加えてプリセットの一つとして選べるようになるのが、
ベストの未来だと考えています。
鉛筆、ボールペン、サインペン、筆など、
なんでも自由に使えればいいんじゃね?という感じ。
なんなら、2つ3つ得意な配列があってもいいのでは、
という未来を想像していますね。
> 職場でどうすんの?
インストール自由な職場では、新配列を使ってる人もいます。
共有環境になったら切り替えればいいだけだし。
インストール禁止な職場では、qwertyローマ字です。
私用PCで新配列と使い分け。
それぞれの文脈で使い分けている感じです。
2. 効率は速度だけか?
キー配列というとすぐ速度の話が出てくるが、
僕はそれが唯一の指標だと考えていません。
ちなみにまず、速度指標だけの話。
> 自作配列興味はあるんだけど、どこも理論ばっかりで成果(ワープロ検定1級ベースで速度○文字いけましたとかこのタイピングソフトで何点出てますとか)が出てこないんだよね。そういうことなんだと思うわ
薙刀式の周知が届かず申し訳ないです。
コピー打鍵:
タイプウェル常用語: SS
ATC 2025: 212文字(変換後)/1分
自由文:
1500字(変換後)/10分が巡航速度、最高は1970。
https://youtu.be/z8iQGYbX4HI
ひらがなのみだと約2000カナ/10分が巡航速度。
https://youtu.be/nTa-sFzolyw
なお色々な新配列が速度を競うゲームATC(Alternative Typing Contest)は、
https://www.youtube.com/watch?v=iKSnUOVDimM
https://www.youtube.com/watch?v=_sw6MZ5shTo&t=2746s
をご覧ください。
で、本題の「効率」を何に取るか、という話。
速度だけではなく、
打鍵の動線が減り、手が楽になることが、僕は大きいと思います。
以下の比較動画がわかりやすいかな。
https://youtu.be/chHqjYsK73w
で、実は一番の効能は、
手が楽になることで、タイピングに回す脳の負荷を減らせて、
脳が「考えること」に全振りできることだと考えます。
> 私も仕事で薙刀式と大西配列を使っているがかなりいい感じ。配列を効率化すると、頭がスッキリするのよ。QWERTYは呪具だということに多くの人はなかなか気づかない。
使用者がコメントを書いてくれています。
これが僕が薙刀式をおすすめする真の目的かな。
効率性はあくまで手段で、
目的はタイピングから逃れて思考に集中すること。
> 若い頃からQWERTYのローマ字入力でずっとやってきてるから、脳のリソースなんてほとんど意識しないで入力できるしなぁ。スマホ上でも。面倒なときは音声入力使うし。
脳のリソースを使わないのであればそのままでも良いのではないでしょうか。
しかし「面倒」ということは、
何かしらのまだリソースを使ってる可能性が高いと思われます。
「呪具」という前の方の表現はなかなか面白い……
> そんなに入力効率上げたいか?
> 考える時間>>>入力時間なので鍵盤は専用機要らんしストレス溜まらん程度で十分。
僕の場合、考える速度が2000カナ/10分よりも速いことが、
上に上げたひらがなだけで打ってみるタイピングで確認されました。
なにせ2000ですでにもっと自分の思考が速い感覚があるので。
これより遅い人はまあそんなに速度のことは考えなくて済むかもしれないです。
この人が遅いだけで、
もっと頭の回転が速い人はたくさんいるかもしれないですよ。
そういう人に枷をつけるのは、損失だと思います。
音声入力はどうだろう?
2000より速く入力している動画があったら教えてください。
参考にしたい。
僕は今のところキーボードのほうが速いので。
3 デマに踊らされているぞ
> すでにほかの配列に慣れてる人が別の配列に移行しても、訓練に見合うほど効率は上がらないって実験結果があるんだよね。新規に学習する人や、趣味でやる分にはいいと思う。
これはDvorak配列をアメリカ海軍が導入しようとしたときの調査結果についての話?
http://pasokatu.com/22023#Dvorak
https://baike.baidu.com/ja/item/%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E9%85%8D%E5%88%97/1503447
によれば、
Dvorakの有用性は認められたものの、
qwertyタイピストを再訓練するコストと天秤にかけて、
「今はやらない」と評価しただけにすぎないです。
つまり、全員のスイッチングコストを高く見積もったといえますね。
これはここまでの人たちが、
なんだかんだ理由をつけて、新配列に手を出さないことに似ています。
qwertyへのコンコルド効果に似ているように、僕には見えますね。
そして、上のコメントでは少し誤解があるようですねえ。
異なる調査の話なら、ソースをあげてほしいです。
4 もう少し具体的な話
> 昔からこういうのに惹かれはするが、機種変時の手間とか継続性・汎用性考えてくと導入に踏み切れないんだよな。小説家等の固定のインフラで大量に文章を入力することが多い人だとコストがペイするかもしれんが。
まあそれはしょうがない部分があります。
アプデで色々変わる世界なので。
ただ、今でも親指シフトエミュレーターを作っている人とか、
有志はいるので応援するべきですね。
何かしらのキーフックソフトはつねにどこかにあるので、
それでキープするのは悪くないと思います。
有名な配列、人気のある配列はその名前でググると、
誰か使ってる人がいるので、実装方法の情報がシェアできるかもしれないです。
> 親指シフトは爆速で入力できたけど専用キーボードがないと辛い
親指シフターはあのキーボードが欲しいという人もいますよね。
ちなみに、今「紅皿」をインストールすれば、
Windowsで、ふつうのキーボードでも親指シフトが動きます。
専用キーボードっぽいものは、自作キーボード界隈で作っている人もいますよ。
yimamuraさんとか。
https://yimamura.booth.pm/
> 親指シフトより効率いいんだろうか
僕は「はい」と言います。
・半濁音、小書きが清音と同じ位置で、同時シフトキーだけを変えるだけで打てる
・拗音、外来音が、第一カナ、第二カナの同時押しで打てる、拗音同時押しを備える
・親指キーが1つなので、2個ある親指キーで左右盲をしなくて済む
・BS、カーソル、エンター、IMEオンオフなどの機能キーが、配列内にある
・親指シフトは30キーではなく、小指外の数キーを使うが、
薙刀式は30キー+スペースキーですべて賄うようにできている。
・親指シフトはアルペジオ打鍵を考慮に入れていないが、薙刀式はアルペジオ打鍵を中心とした、
楽で高速な打鍵法が多い
・指バランスは、人差し指5割、中指3割、小指4%、
という極端な中央指バランスなので、長文を打っても疲れない
(親指シフトは案外小指を酷使する。qwertyよりまし)
> やはり素直なかな配列覚えましょうのやつでは。
素直なかな配列とは、JISカナ配列のことですね。
僕は数字段の10+3キーをブラインドタッチできません。小指外の5キーも無理です。
これらを滑らかにブラインドタッチできる人はどうぞ。
だいぶ上級者しか無理だと思います。
また、すべてのキーの中で一番使うキーが@位置の「゛」で、
右小指が死ぬと思います。
頻度的に10位くらいの「、」「。」をシフトキーが必須というのも、
非効率な設計です。
ちなみに、JISカナはもともと電信タイプライター(電報)用につくられたもので、
見た目でタイプすることを前提につくられていました。
ブラインドタッチ用に設計された新配列のほうが効率的でしょう。
> アルファベット交じりの文章を打つことが多いと、もうローマ字変換でいいやと思っちゃう
> もうローマ字も日本語に馴染んでるから今更ローマ字ゼロの文章は書けないので片手落ちになるんだよな
これはありますね。
薙刀式の場合、
F+Gの同時押しでIMEOFF、H+Jの同時押しでIMEONと、
普段標準運指でロールオーバーしない部分の同時押しで、
IMEの切り替えを実現しています。
これで英語とカナを切り替えて打っています。
それでも面倒なくらい日英を行き来するならば、
ローマ字配列でいいかもしれません。
大西配列が、日英両方に特化している設計で、しかも使いやすいのでおすすめです。
僕は日本語多めの仕事なので、薙刀式がちょうどいいですね。
> 自作キーボード沼の次は論理配列沼か。薙刀式は良さそうだけど習得コスト高すぎて草
薙刀式はカナ配列の中では最も習得コストが低いタイプのカナ配列です。
JISカナ程度の記憶負荷で、
しかも30キーの範囲内に収まるので。
qwerty配列みたいな法則性のない配列をやるよりも、
最終的な習得コストは安いと見ています。
> 日本語入力はフリックが一番速いと俺の中で囁かれておる。
フリックも測定したことがありますが、
自由文で、
薙刀式 1500字(変換後)/10分
フリック 1000
程度でした。
よくフリックでここのブログは書いているので、そこそこ速いはずです。
どれくらいが「速い」なのか、具体的な数字で比較したいものです。
> レイヤー切替入るなら一定ではなくない?
はい。これは記事の誤りです。話を簡単にあえて間違えている確信犯かもです。
薙刀式のレイヤー切り替え、スペースキーは、
シフトキーとしてもふるまうため、
押した瞬間にシフトキーになります。
そのまま何かを押さずに離せばスペースキーになります。(SandS)
なので、厳密には一瞬遅れますね。二打ペースよりは速い程度でしょうか。
> スペースキーをシフトにするの、SandS方式ってやつだと思うけど、スペース連打の代わりに長押しする派の人はストレス溜まるかもなので注意
スペース連打を長押しして入力する機会はいつでしょう?
変換候補を連続して次へ行くときと、
たくさん空白を入力するときでしょうかね。
それくらい連打でもいいんじゃないでしょうか。
そのかわり薙刀式が使えるし、英語入力でもシフトキーをスペースで兼ねられますよ。
記号とかめっちゃ出しやすくなる。
> 同時押しが入力の方法として採用されているということは、逆にその他の場合に同時押ししてはいけないので想像以上に入力がバタバタするんすよね。ロールオーバーってスムーズに入力するのに結構重要。
薙刀式の同時押しは特殊なアルゴリズムを採用していて、
相互シフト方式というものによる同時押しです。
これは、「AとBの同時押し」を、Aを押しながらBでも、Bを押しながらAでも、
両方が押している間が重なっていたら同時とみなす方式です。
しかもこれはシフトキーのように連続判定しているので、
連続シフトが可能です。
これを前提として文字が組み立てられているので、
一回ごとにシフトを押し離しする場面は思ったほど多くありません。
ちなみにシフト率は24%で、うち連続シフトが8ポイントほど存在します。
他にも親指以外の同時押しもあり、これらについても同様です。
たしかに重なりのあるなしで挙動が分れるので大変ですが、
同時押しは主に人差し指とが多いため、比較的制御しやすい方式だと考えます。
また、ロールオーバーに関してですが、
突き刺し打ちといって、指を垂直に立てて指先で打つ方式だと、
ロールオーバーが高速のキモですが、
薙刀式は撫で打ちといって、指の腹で撫でるように打つ、
ロープロファイルで打ちやすい打ち方を推奨しています。
これだと、ロールオーバーよりもアルペジオ打鍵のほうが気持ちよく、
高速になります。
なので、ロールオーバー前提に配字を組み立てていません。
ロールオーバーではない、新しい打鍵法をつくった、
と言っても過言ではないでしょう。
この撫で打ちが使いやすい、
丸いタイプのキーキャップまで僕は3Dプリンタで設計しました。
> 長年AZIKを使っているが、近年言及されている機会がない。
おー、古参のAZIK使いだー。
5/19を勝手に新配列の日と定めて、
「今使っている配列をつぶやこう」なんてイベントをやろうと計画しているので、
ぜひAZIKのアクティブユーザーとして誰かにAZIKのことを教えてあげてください。
僕自身は、AZIKはqwertyの宿痾をそのまま保存するので、
あまり好きではないですが、高速で使える人にはいいのかもしれません。
> 自分は飛鳥だけど、今から覚えるなら薙刀は割とおすすめ。難易度上げていいなら新下駄、競技タイパーレベルの速度重視なら月配列系、移行で楽したいならAZIKあたり。
おー、飛鳥使い、まだ生きとったんか。
なかなか見ないので絶滅したかと思ってました。
Alternative Typing Contestにぜひご投稿ください!
今年の10月にはやると思います!
> 標準の正統性のためにも継続性のためにも、それは常に揺るがされる必要があります。そのことが、将来の標準の良い景色を作るので。オルタナと批評とははとっても大切です。
そうですね。
僕は標準方式に落第した、キーボードが嫌いな人なので、
ここまで工夫して楽に変えてきた経緯があります。
標準方式は、ちゃんと使うには難しすぎると思います。
2026年05月11日
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これは確かに、
同時押しが定義されているカナを連続で出したいときに、
誤って同時押しの方のカナが出てしまうことがあるので、
意識的に前のカナを先に離す必要があって、
“習得段階では”飛び跳ねているような感覚がありました。
そういうのをバタバタする、と言っているのでしょうか。
自分の場合は、
撫で打ちと言うより脱力することに慣れてから、
その感覚も、誤ってロールオーバーすることもなくなりましたが……。
薙刀式の同時押しではなく、
他の同時押し配列についての感想ではないかと想像しました。
たとえば親指シフトではシフト率そのものが高いので、
薙刀式よりバシバシ同時押しを使う印象になると思います。
同時押しがいろんなキーや指に分散していること、
それがカナ種と連動しているため、
親指以外の同時押しは納得性が高いこと、
などを理解しないままのコメントと解釈しました。
ロールオーバー出来ない=一つ一つ離してから次を入力しないといけない、
だから、離す“回数”が増える同時押し系の配列はバタバタする、
という単純な理解でしたが、
確かにその説もありますね。