2026年07月26日

撮影当日発覚

というのは時々ある。
僕はこれがなんで起きるのかわからない。
だって撮影当日より遥か前に台本があるわけだし、
それを確認してOK出てると思ってるから、
スタッフは何日も前から準備して本番に臨むのよね。


僕も経験したことがある。

水着の女の子5人に囲まれて、
そのうち1人の女の子がちんこを(服の上から)さわる、
というシーンを撮る時だ。

当日その女子が聞いてないと言い出して、
怒って現場から勝手に帰ってしまった。
こっちとしては1か月前からオファーしたというのに、
その子が帰ってしまったから、
不自然に1人足りない状態で撮り終えた。
編集がちぐはぐになり、いまだにこれは後悔している。

どうすればよかったのか?
ちんこさわるのは君の役だがそれでいいか?
と事前にコンテを渡してて文句出てないんだから、
現場でノーはさすがにこっちは防ぎようがない。


最近聞いた別の仕事の話では、
俳優が猫を抱くカットがあり、
1か月前にその絵コンテを渡しているのにも関わらず、
当日その人が猫アレルギーだと発覚したそうだ。

あるいは、
洗顔フォームのCMを受けた女優が、
当日敏感肌だから顔を洗うシーンは撮れないと言い出した、
というめちゃくちゃな話も聞いたことがある。
8割方顔を洗うシーンのCMなのだが。


本人からしたら聞いてないことで、
当日レイプされるような気持ちだろうか?

逆に、僕ら撮影サイドからしたら、
1か月も前に内容を示したものを送り、
「はいやります」と返事したものだと思っている。


なぜなら、
間に3レイヤーぐらい人がいて、
直接本人と話せない仕組みだからだ。

監督→プロデューサー→(広告代理店)→事務所→本人

くらいに隔たりがある。
現場まで会えない。


タレントは日給みたいなもので、
撮影当日ぶん(契約料数千万、
当日拘束費100〜400万程度)しかお金が用意されていない。
現場より前に会って話をしたら、
さらに1日分ギャラが発生する。
それをセーブするために、
当日朝に「はじめまして」になる。

だからトラブルがないように、
事前にやる事を示した台本を渡しているのだが、
なぜかまれに、
「聞いてない、できない」が発生する。

なんでやろ?


僕は間に立つ誰かが悪いと思うのだが、
「聞いてないことをこっちも聞いてない」ので、
現場でこっちが妥協するしかない。

水着の女の子5人に囲まれてウハウハのシーンが、
途中からなぜか不自然に1人減ってたり、
猫が不自然な合成になってたり、
あるいは猫なしになってたり
(当日可愛い猫ちゃんを連れてきた動物プロダクションの人たち涙目)、
主役とは別の人が延々と顔を洗って、
急に主役がさわやかな笑顔になったりする。

こうやって、日本の映像は、
現場の妥協によってつくられている。

間に立つ者たちの怠慢でだ。

あるいは、
「こんなことやらせんなよ」ってほんとは思ってて、
当日聞いてないふりをして困らせて、
マウントを取る、
という意地悪な作戦もないわけではないと思う。


ちなみに、
「作品が成立しないから撮影中止、
整うまでやりなおすぞ」という監督は、
次からはまず干される。
現場の損失は何百万〜1000万。
当日キャンセルはホテルでも満額だ。


プロデューサーシステムは、
プロデューサーの手のひらの上でころがる。
その手のひらが小さいと、
全部こぼれてメタメタになる。

台本がちょいちょい変わるのも、
演者の機嫌を悪くする。
だからギリギリまで見せない事務所もあるかもしれない。
忙しいスターは毎日台本に囲まれて全部把握しきれないから、
「今日やる分だけ朝イチで確認」
みたいになってるかもしれない。


真相解明は監督の立場からはできない。
いずれにせよ、
こうして日本の映像のレベルは当日下がる。
posted by おおおかとしひこ at 05:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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