2026年08月03日

起ったら嫌なことが、最悪の形で起こる

現実にはこんなことはあまり起らない。
心配し過ぎ、杞憂であった、
となるだろう。

だけど物語はエンターテイメントだ。
起こる。しかも最悪の形でだ。


「杞憂」の語源は杞の国の憂さんという人だ。

彼は天が落ちてくるのを心配して、
なんとかして支えようとしたそうだ。
(八卦掌の最初の形はこのエピソードを拾って、
「杞人支天」という形があるよ)


これが事実ならば、
まあそんなものか、落ちてくるわけねえじゃん、
ってなるけれど、
これがフィクションなら、
なにかをきっかけに本当に天が落ちてきて、
気ちがい扱いされていた憂さんが、
実は正しかったのだ、
というストーリーになるだろうね。

心配事は、
ストーリーにおいては極上のスパイスだ。

「プロジェクトは走り出した!
成功するか?」
というストーリーでは、
最悪の失敗が、最悪のタイミングでやって来る。
そこからどん底になり、
どうやって逆転するか、というのがポイントだからだ。

「あの子のハートをゲットだぜ!
あの子もちょっと俺のことを好きになりかかってる?」
というストーリーでは、
必ず最悪のことが起こる。

彼女は別のイケメンと付き合ってしまうだろう。
しかも勘違いしてデートに誘えた、
と思った直後、最悪の形で現れるはずだ。

つまりあなたというストーリーテラーは、
わざと心配させる必要がある。
そして「起こらないかも」と一回は思わせておいて、
最悪のタイミングで、最悪の形でそれを起こすとよい。

それには、危険を意識付けるとよい。
ほんとうに起こることを意識づけると、
単なるネタバレになってしまうので、
多少甘い不安にしておくと良い。


杞憂の話でいえば、
天がいつか落ちてくるかも、
と心配しているレベルの不安であれば、
最悪の日(たとえば憂さんが国家試験のテストの日)に、
最悪のことが起こればよい。
たとえば、天だけでなく、月ごと落ちてくる、
という風にだ。

それで災厄が起こっても良いし、
落ちて来るまであと七日と分って、
憂さんがそれを止めに行く話でもいいよ。

そう。こうやって話は急に面白くなるのだ。

あとは月の落下を止める話と、
最悪の日のこと、国家試験のことを、
ラストに同時解決すれば、
めでたしめでたしになるだろう。
(たとえば国家試験は万有引力の問題が出るとかね)



こうやって、話をつくると良い。
もちろん、こうしないやり方もある。

だけど、不安は的中しないと面白くないし、
不安のない安心する話は面白くないものだ。

ということで不安は的中するのだ。必ず。
そして、面白い不安の的中というのは、
予想を超えた最悪のものが、
最悪のタイミングでやって来ることだよね。

そのコントロールこそが、
ストーリーテラーの腕の見せ所といってよい。
posted by おおおかとしひこ at 10:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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