ストーリーにおける発明は特許がないが、
発明というのは結構たくさんある。
「こういうストーリーのパターンあるよね」
という形で真似されるものは、
全て誰かが最初に発明したものたちだ。
たとえば、
「未来から来たロボットが、
まだ生まれていない人類の指導者を殺すために、
母親になる予定の女を殺しに来た」
という設定は、
ターミネーターの発明だ。
これを発明したからには、
色んな「未来からタイムパラドックス狙いで来た敵を、
現代で撃退して歴史をまもる」
というパターンの物語をつくることが出来る。
しかも未来から現代に来た設定なので、
ロケ撮影は現代のものでよく、
未来世界をわざわざ作らなくて良いので、
予算に優しいのだ。
(ターミネーター4は、未来世界をつくろうとして予算が足りず失敗)
こういう「撮影に都合がいい」というのは、
とても真似しやすいんだよね。
あとは微妙に設定をアレンジしていくとバレない。
これはひとつの発明だと思う。
誰もが真似する、面白そうな話がつくれるものね。
こういうものを発明するのも、
我々の仕事ということだ。
「男装の麗人が何かに紛れ込み、
女だとばれないかひやひやする」
というのが初めて発明されたときには、
色んなものが後追いしただろうね。
「風呂入ろうぜ、お前も脱げよ!」
「やめろよ! 俺は一人で入るのが好きなんだ!」
「へんなやつ」は定番のやり取りだろう。
それで好きになっちゃったりね。
「かつての最強の敵が、今度は味方になってやってくる」
というのは大昔からあるのかしら。
ジャンプ漫画の定番ではあるが、
いつも燃える展開よね。
あるひとつの発明をしたら、
実はそれをアレンジしていくことが出来る。
僕はターミネーターは、
もともとドラえもんのアイデアをアレンジしたものではないかと思う。
大本は親殺しのパラドックスだけど、
「過去にタイムスリップして、
過去を変えれば現在が変わる」
というのを逆側から見て、
「未来から来た使者が、現在を変えに来た」
という設定に変えたこと、
「未来から来たのはロボットで、未来の道具を持っている」は、
ドラえもんの発明じゃないかなあ。
これは、ダメなのび太を良い男にするため、
という目的で、ロボットは味方だったが、
「このパターンを敵にしたらどうだ?」
とキャメロンは思いついたのかもしれない。
日本の漫画ヲタクで有名だから、
ドラえもんをうまくアレンジしようと、
考えた可能性は高いんじゃないか。
「未来から来た敵ロボットが、
親殺しに来る」まで思いつけば、
「なぜ殺そうとするのか」
「なぜ親を殺そうとするのか」
が思いつく。
ロボットの敵=人類のリーダーがいて、
その母親を、まだ妊娠する前に殺してしまえ、
というのさえ思いつけば、
ターミネーターは「発明のレベル」に来たようなものだ。
あとは、「誰が父親になるのか?」だ。
現在の誰かを父にする、
たとえばサラ・コナーに彼氏ができて……
などでも全然いいのだが、
このシナリオの段取りを省略した優秀さは、
「もう一人未来からやって来る」をつくったところにある。
その男カイル・リースは、
最初から彼女の写真を見てあこがれていた、
という風に設定しておくと、
ラブストーリーの尺を省略して、
チェイスだけに集中できるからだ。
アクションが出来る女優として選ぶために、
甘い部分はなるべく省略しよう、
という意図が感じられる。
結果、甘いラブストーリーのない、
アクションアクションまたアクション、
しかも化物に追いかけられるチェイスもの、
という風にターミネーターは、「発明」されたと言えるだろう。
0からいきなり発明は起るのではない。
既存にある何かを組合わせたら、
いきなりスパークする可能性がある。
ターミネーターが、
ドラえもんを敵にしたことと、
ラブストーリー省略の都合からつくられていることは、
言われるまで気づかないかもしれない。
ラストシーンのポラロイド写真の伏線回収があまりにも良いので、
そこでご都合とかどうでもいいよ、
ってなってしまうから、
気づきにくくなっているだろうね。
しかし冷静に考えれば、
これは何と何から出来ているか、
というのを、
料理を食べて味や作り方に分解するように、
ストーリーを分解することは出来るだろう。
(というか、出来るようになって行くべきだ)
これらのパクリ?インスパイア?の参照関係の地図をつくれば、
映画史のストーリーの参照関係地図がつくれるかもしれない。
(詳しく調べていないから、僕は作れないが)
あなたはこの参照関係地図において、
新しく始まった点を作るべきだ。
つまり、
この作品以前にはなかったパターンで、
以後このパターンといえばこれ、
みたいな原点の作品だ。
何がオリジナルか分らないが、
「バナナで滑って転ぶ人」のオリジナルの発明をした人はすごいなー、
と今だに思う。
分りやすいもんね。黄色で目立つし。
あなたが発明したすごいアイデアはなんだい?
今後ずっとパクられるかな?
そういうものを常に出来ないか考えるのだ。
○○の○○と、○○の○○を合わせたらどうなる?
でもいい。
でも○○に映画が入ると面白くないので、
別のジャンルから持ってくるといいよ。
「もしドラえもんが敵だったら?
誰が送り込んだ? 誰を殺しに来た?」
あたりからターミネーターは始まっている。
そんな風に、映画史に燦然と輝く、
「こういうストーリーのパターンよくあるよね」
というのを発明しよう。
これは見たことなかったパターン、
真似したくなるパターンがあると、
たとえパクられようが、
映画文化は豊かになるし、
しかも最初にやったのはあなただと言われることになるね。
なんか面白いパターンねえかなー、
あ、これは新しい面白いパターンじゃね?
なんて日々見方を変えるようにしよう。
2026年08月16日
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