2026年08月30日

棒立ち芝居になるのは、想像力が足りていないから

初心者の脚本にありがちなやつ。
A「○○○○○○○」
B「○○○○○○○」
と会話しているとき、ABは何してる?
ただ立ってるだけ?


ストーリーをただ進めようとして、
あるいは感情を表現しようとして、
ついつい「今どういう姿勢になっているのか」
「何をしているのか」を、
イメージから忘れてしまいがち。

結果、「ただ立って会話しているだけ」
というシーンになってしまうことが、
まれに良くある。

世の中を見てみよう。
立って会話している人、見る?
あんまりいないよね。
井戸端会議的な何かしかなさそう。
あるいは喧嘩してるか。

座って会話している人は多いよね。
でも映画だと絵替わりがしなくて退屈よね。
ずっと座って会話されてもなー、って思ってしまう。

だから映画では「振り付け」をする。
日本映画では「段取り」といったりする。

立って何かを取りに行き、
また戻って来るとか、
何かのスイッチを入れるとか切るとか、
座ったり立ったりして、
体勢、姿勢を変えながら会話させることを良くやる。

手元で何かしながらでもいいよね。
メールを打っているとか、
手編みのセーターをつくっているとか、
プラモを作りながらとか。
部屋の中なら座るだけでなく、寝っ転がることも可能になるね。
(外でもいいけど。たとえばベンチや土手に寝るとか)

立って会話する絵は平凡だ。
だからなるべく違う態勢で会話させた方が面白い絵になる。
ブランコに二人乗り(一人は立って、一人は座って)とか、
いい絵になりそうじゃんね。
二人で逆上がりしながら会話してもいいんだよ。
一人は前回りで、一人は逆上がりをして、
状況に対して前向き、後ろ向きを暗示したっていいのだ。

壁ドンだって、ただ立って会話すると面白くないから、
絵面として面白いからつくったわけだよね。
肩車をしながらの会話だっていい。
料理しながら会話するとかは良くあるよね。

昔は「芝居が下手なやつは煙草を吸わせろ」
って格言があった。
ただ立って話してしまうしょうもない台本を、
ライターをきっかけに話すとか、
一方の火をもらうきっかけに話すとか、
吸い終わって足でもみ消すときに何か話すとか、
何かしながらの会話が出来たものだ。

表情の変化に乏しい俳優でも、
煙が色々形を変えてくれるので、
芝居に見えたものだ。

同様に、海での会話もある。
波が勝手に芝居してくれるやつね。
海だと座って会話したあと、
海に何かを投げたくなるが、
これも「ただ棒立ち会話をするのを避ける」方法論であるわけだ。


今立ってるの? 座ってるの?
いつか立つの? 座るの?
手に何を持ってるの?
何をしてる途中なの?

実はそんなことは脚本には書いていないので、
監督がそういうものを新しく足して、
面白い絵にすることは結構ある。

最終的には監督が決めることだが、
脚本が棒立ち芝居だと、
結構苦労するよね。
せめて脚本にヒントがあると良い。
「スマホを見ながら」というのは、
現代で一番ポピュラーな、
棒立ちを避ける方法かな。

タバコより前は、
芝居が下手なやつには床掃除させろとか、
ポケットに手を入れたり出したりさせろとかも、
あったようだ。
女なら櫛で髪を整えるとか、鏡を見るとかもあった。
総称して「床掃除」と呼ばれる現場テクニックだね。



別に脚本で詳細に決める必要はない。

だけど、
「立ってる? 座ってる?」に答えられないなら、
あなたは本当には映画を想像できていないのだ。
posted by おおおかとしひこ at 04:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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