2026年08月11日

【薙刀式】薙刀式を支える物理環境

そのままのキーボードで使ってもまあまあ威力を発揮する。
qwertyローマ字に戻りたくない程度には。

ただ、そもそもそのままのキーボードが長文には向かないので、
以下のように物理環境に投資したほうがいいかな。


移行に慣れるのが簡単なものから順にまとめる。

なお薙刀式はエミュレータソフト
(DvorakJ、紅皿、Karabinar-Elements、
Keyremapper、専用アプリなど。
qwertyキーボードから来た信号を、
薙刀式で打ったとして読み変えるプログラム)
で動かすという前提で。


1. 軽い押下圧のキーボードを使う

そもそも長文(5000字以上)目的の薙刀式は、
軽い押下圧と相性が良い。
ふつうのメンブレンやパンタグラフは55〜65g程度で、
重たいキーボードの部類だ。
市販では30g、45gのリアルフォース、HHKB、
35gのNiZがある。

メカニカルキーボード(ホットスワップ対応)では、
軽い押下圧のスイッチと全交換することで、
実現できる。
(軽いスイッチは、TALPKEYBORDで買うと良い。
おすすめは30g前後)

リアルフォースやHHKBは3万強、
メカニカルキーボードは1〜3万+スイッチ5000円程度+
スイッチ用工具数千円程度。

富士通のギアリンク式キーボードは、
パンタグラフなのに35g程度と軽い。
Lifebook UHキーボードとして2万程度。

それぞれNキーロールオーバーかチェックのこと。
そうでないと一部の3キー同時押しを認識しないので、
薙刀式がそこだけ動かない可能性あり。


そうそう、こうしたキーボードをノートPCの上に乗せて使う、
いわゆる尊師スタイルをする人もいるが、
僕はおすすめしない。
首がやられるからだ。猪首=ストレートネックになりがち。

1時間までかな。そのままノートを使うのは。
ノートPCはスタンドとともに使わないと、
長時間作業では首肩をやられるので注意したい。
ノートPC+スタンド+別付キーボードを使う、
というのが基本セットにした方がいいね。
パームレストは好みでどうぞ。
僕は使わなくてもよい仕組みをつくった。


上に挙げたキーボードは、
従来のキーボードと同じ形なので親しみやすいが、
そもそも左ロウスタッガード、一体型なので、
長く使うほど身体に左ねじれのゆがみが蓄積する。
こればかりはどんなに論理配列を変えても対応できない。

なので次以降の選択肢がおすすめ。



2. 左右分割、左右対称型キーボード

自作キーボードキットを入手して、
ハンダづけとプログラミングをする。
3〜5万円。
ケースとか凝りだすと+2万じゃ済まないかも。

なお自作系はすべてメカニカル前提なので、
上で買った軽いスイッチを使えるよ。

コラムスタッガード、格子配列がある。
後者の方が僕は幾何学的に指の位置を把握しやすいのでおすすめだけど、
なぜか安定して製品がないのよね。


いきなりこれはハードルが高すぎるため、
ハンダ済み、組立済みで、
キースイッチ+キーキャップ+ケーブル類を追加購入するだけの、
Corneキーボードが入手しやすいかな(遊舎工房で入手可能)。
トータル4〜5万円程度みてください。
Conixなど、さらに上位機種もあるよ。3+2万円程度。
(JezailFunder Japan)



3. オールコンベックスキーキャップを使う

天面が凹んでいる従来のキーキャップではなく、
天面がすべて凸型になっているキーキャップを使う。

パンタグラフのような天面が平らなものは、
指先よりも指の腹で撫で打ちしたほうが楽で高速だが、
それをさらに押し進め、
指の離れから次の動作までを楽にしたもの。
軽い押下圧のスイッチと相性が良いため、
ふつうに使っても効果は薄いと思う。

薙刀式用として大岡が3Dプリントで設計、頒布中。
1.5万円。MX、choc v2両対応。
https://make.dmm.com/market/item/1848187/

自作や既製品のコンベックスキーキャップを集めてもいいけど、
試行錯誤すると結局同じ値段くらいかかりますね……



4. スイッチのバネ交換

Sprit DesignsではMXスイッチ用の交換用バネを売っているが、
入手困難(不定期にしか作らないっぽい)。
運がよければ、30g、25g、20g、15g、12gの、
軽量バネが手に入る。
昔は100個入り1100円で買えたが、今2500円くらいだっけ。


ちなみに、qwertyローマ字のままこれらの物理に変えたら良くなる?
良くなるよ。論理と物理は相乗効果もあるが、
良い物理はそれだけでも良いものだ。



さらに、自作キーボード内のファームウェアに、
薙刀式を書き込む(QMK、ZMK)方法もある。

エミュレータが不要になり、
そのキーボードを挿せばそこから薙刀式の文字が出る、
という風にできるので理想的だが、
自力環境構築→コンパイルとか、
コードの読み書きがある程度できる、
というハードルの高さがある。

また、自作キーボードは耐久性の保証がない
(持って数年?)ので、
ハンダづけやプログラミングの基礎を知っておき、
壊れたら自力修理するスキルも必要だね。
全買い替えは高すぎると思う。



物理環境のベストについて解説した。
これを整えないとただちに問題があるわけではないが、
この物理は僕が今使ってる環境であり、
ベストに近いと考えている。

つねに何万字もやりたいならこれくらい整えとかないと、
そもそも身体を壊すので、
まずは軽い押下圧だけでも確保されたい。


これは学校では教えてくれない。
なぜなら何万字も書く人のことを考えて、
官制(とあえて書くか)キーボードは作られていない、
といえるからだ。

かつては109JISキーボードとqwertyローマ字またはJISカナ、
という実質1種類しかなかった日本語入力法は、
自作キーボードの爆発と、
新配列の研究によって、
一択ではなくなっている。


民間開発ゆえに官制の波に消える可能性もあるが、
オープンソース文化のある自作系では、
誰かがつくって継承していく文化もあるので、
参加して還元されたい。
技術的に還元できないなら、
飲み会を開くとか掃除するとか、
それぞれができることで還元するといいと思うよ。



払うお金は3〜7万円、と決して安い買い物ではないが、
万年筆だってそれくらいかかると思えば、
安価な普及品ではない、
「ちゃんと使う人の為の道具」を整えた方が快適になる。
その恩恵を考えると、金では買えないほど価値がある。
家賃5万と10万を比較してくれ。
全然違うだろ。
家賃は毎月サブスクだが、キーボードは1回払いで済む。


一般にプロはプロ用の道具を使うのが常識だが、
キーボードがそうでなかったのは、
ずっと官制キーボードしかなかったから。

カメラや筆や服で、そんなことある?
これまでは民間が弱かっただけなのかもね。

オープンソースが浸透してきて、
はじめてキーボードの物理と論理が、
カメラや筆や車や調理器具や服みたいに、
自由化してきたのでは。



もちろん、新しい道具なのだから、
使いこなすにはある程度時間がかかる。
物理キーボードに慣れるのに数週間〜1か月、
論理配列に慣れるのに同じくらい。
「文字の書き方が変わる」のだから、
それくらいはかかると思って。


「それを新調する」という考えすらなかっただろう。
万年筆や高級文具くらいかな、これまであったものは。
手が触れて直接思考とつながる中間物=道具としての機能が、
キーボードに関しては軽視されすぎてたと思う。

理系メーカーたちがそこまで考えてなかったのが一説、
コストが高く大量販売が見込めないのが一説、
過去に普及の美名のもとに脳死で規格統一してしまったのが一説、
そもそも普及期にユーザーたちがキーボードを怖がり、
見た目最小手順(しかし最善手ではない)を選びたがったのが一説。

それらが複合してデファクトスタンダード
(結果的標準)を形成してデッドロックしてしまった。


だけどオープンソースは、
そうした大量生産大量消費のパラダイムを崩す。
ようやく「手の届くところ」に来始めていると思う。

まだまだ人柱は必要だ。
最初のペンギンは飛び込んだ。
あとに続けばもっと飛び込む。
そうやって流れは生まれていく。
posted by おおおかとしひこ at 14:51| Comment(2) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
薬指と小指は撫で打ち しにくい、
中指より短いので 立ちぎみに。
オールコンベックスでなく 立ち気味の指には フラットな天面で 突き打ち のほうが イイのでは。

Posted by MMX at 2026年08月14日 08:43
>MMXさん

指の長さには個人差があるのでなんともですね。
ちなみにホルモンバランスの関係で、
男は人差し指<薬指ですが、
女は逆の人が多いです。

17ピッチを使うなどすればまた別ですが、
17ピッチはパンタグラフか自作キーボードの世界ですね。
Posted by おおおかとしひこ at 2026年08月14日 09:56
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