2026年08月28日

【薙刀式】なんで僕には親指シフトが合わなかったのか

最近のいろんな言語化によって、
このことをもっと精度よく記述できるかもしれない。

結論から言うと、
脳内発声あり前提で作られた設計が、
それとは書く原理の違う(脳内発声なしの)僕のやり方と、
合わなかったから。


親指シフトが脳内発声あり前提で設計されてることは、
いくつかの状況証拠から明らかだ。

・脳内発声なしの人が10%〜数%なので、
 ありの人のほうが大多数を占めている。
 また、設計当時1980年前後では、このことを知られてなかった。

・「指が喋る」というキャッチフレーズ

・「喋るリズムで打てる」という解説。
 qwertyローマ字ではア行は1打、その他は2〜3打であり、
 モーラと打数が合わない。
 JISカナは、濁音に2打必要。
 しかし親指シフトは、清音、濁音、小書きを1アクションで打てた。
 (半濁音は小指のシフトキーでハ行だったが、
 これはなんとなく無視されている)
 このことにより、発音とアクションが一致する、
 のようにメリットが語られた。
 (実際には1モーラの拗音は2アクションなので厳密ではないが、
 qwertyローマ字、JISカナに比べれば劇的進歩なので、
 見なかった事にみんなしていただろう)

・ユーザーの声も、喋るリズムで打てる、
 という良さを言う人がいる。
 だから高速に打てると高速性と紐付ける人もいる。

・喋ることしか言ってなくて、
 脳内で浮かんだ言葉や文章、などのような、
 音の伴わない思考について言及されることがない。

・親指シフトの打鍵は、しばしばスタッカートつきで表現される。
 お・や・ゆ・び・し・ふ・と
 のようにだ。
 おや・ゆび・しふとや、おやゆび・しふと
 のように、単語単位の繋がりではなく、
 発音の1gram単位で考えられてるふしがある。


最後の要素が僕には大きいかな。
僕は脳内で、「親指/シフト」のように、
意味単位で、しかも漢字表記で考えているので、
それを発音単位に分解することが苦手だ。
どうやって「おやゆび」のひらがなを脳内からひねりだしているかというと、
「親指」に脳内でルビを振るんよね。
「シフト」というカタカナも、「しふと」というルビを振る。
それを入力して、
親指は漢字に変換して、しふとをカタカナ変換する。
(たいてい「おやゆびしふと」で変換すれば「親指シフト」になるけど、
原理的にはこういうこと)

また、
僕は文字を指の運動で記憶している。
文字のビジュアル想起と指の運動想起は、
リンクしたり分離できたりする。
なので、「おやゆび」という単語単位で、
指の運動として記憶したい。

親指シフトの配字方針はそうなっていない。
ある単語が連続する指の流れに、
なめらかになるようには設計されていない。
(正確に言うと、2〜Ngramのカナと運指の構造を、
徹底的に考慮されているとはいえない)
一部、漢語二文字目に来るカナを右手に置き、
漢字を左→右にしようとした形跡や、
頻出の「ょう」を右→左の交互打鍵にしようとした形跡はある。

おそらく当時の打鍵理論は、
1gramのヒートマップを調整しよう、
左右交互になるようにしよう(≒同手連続を避けよう)、
だったと思われる。

これは打鍵理論が発展してなかったこともあるが、
「1音の音を出す楽器」として考えれば、
十分な設計ともいえる。

もっとも、よく使うメロディラインが弾きやすい楽器、
という構造もありえたが、
そこまでの研究はなかったのではないか。


さて、そんなこんなで、
親指シフトの2〜3gramの運指構造は、
けっこうぐちゃぐちゃだ。
これはスタッカート方式で打つにはあまり気にならないかもだが、
「書き順の運動で記憶する」
僕の脳内発声なしのやり方ではつらいわけだ。

(同様にもっとぐちゃぐちゃなqwertyローマ字はもっとつらい)


なお、
当時の親指シフトの「指が喋る速度」の基準は、
分速180〜240カナ(=秒3〜4カナ)と言われる。
NHKアナウンサーの原稿読み速度の基準が、
分速300字(変換後)なので、
漢字仮名交りであることを考えるとずいぶん遅そうなので、
「喋る速度」はあくまでキャッチコピーに過ぎない事がわかる。
(そもそも300が喋る速度の基準値なのかはわからない。
ひとり喋りでアドリブでこの速度で喋れる人はそんなにいないだろう)

ポチポチ打ちをやっていたり、
手書きでノロノロと書いていた
(大学生の調査で分速30〜45字)よりは、
喋るのに近づいた、という観点だろう。


さて、つまり、
喋る事に近づけるような設計であり、
僕みたいな脳内発声がないタイプは、
想定すらされてなかったんじゃね?
というのが、
現在の僕の見立てだ。
だから合わなかったのだろうと。


もっとも、
・小指の頻度が高い、左薬指も多用する
・左右の親指を高速で使い分ける必要があり左右盲が発生した
・連続シフトができない
あたりも、僕と合わなかった原因だけど、
もし「指がつながり、その書き順をことばとして運動記憶すれば良い」
配列になっていたら、
僕は親指シフトを使ってたかもしれない。

だから当然「指がぬるぬるつながる」と噂の、
飛鳥配列を試す事になる。
だけど清濁別置がマスターしきれなくて、
親指の左右盲も克服できずに挫折した。
あと案外拗音2アクションはつらかった。


これらのことが、
「指がつながることで単語運動記憶になる、
つまり一筆書きのように文を書ける」
+「拗音は1アクション」
「人差し指中指偏重主義」
「センターシフトで左右盲なし」
の、薙刀式につながってきている。


で、いまさら親指シフトなんで自分には無理だっんやろ、
と振り返ると、
脳内発声前提な設計が、
僕の脳タイプに合わなかったんだなあ、
ということがわかるわけだ。

ここまで自分の脳の中を観察して記述してきたのは、
こんなタイプが世の中にいて、
そうじゃない道具を強制されて、
悲鳴を上げてきたから、
自分に合うものをつくるしかない、それはこのようなものだ、
を同定するためだ。

そのことによって、
そうじゃないものはどうそうじゃないのか、
も少しずつ見えるようになってきた。


当然脳内発声前提のqwertyローマ字(なにせ子音+母音は発音の話だ)は、
僕に合わないねえ。
カタナ式をやってた頃はカナ配列は自分には無理と思ってたからで、
下駄配列やってみたら案外いけたので、
カナ配列も触り始めたという経緯。
で、ローマ字配列の時は脳内発声がしてたけど、
カナ配列に変えたら脳内発声が止み、
「ひょっとして……?」と発見したのが、
これまでの流れを決定づけたな。


脳内発声がない人がどれくらいいるのか、
ない人は僕と同じような思考傾向なのか、
ある人はみんな同じなのか、
あるとないの間はどれくらいあるのかはわかってない。
そして、どんな脳タイプの人がどんな配列が合うかは、
全く何もわかってないに等しい。

おそらくは新配列なるものの作者は、
ほぼ全員脳内発声ありの人で、
僕だけたまたまなかった人、ではないかと思われる。

だから作者はみんな脳内を描写してみてくれ。
ふたつの両極端の間もみつかるかもしれないし、
その人の作った配列は、似たタイプを救えるかもしれない。



親指シフトは僕には合わない。
僕の脳内の日本語はスタッカート音ではないので。
posted by おおおかとしひこ at 16:10| Comment(2) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
脳内発声の例
マシンガントーク
「早口になった途端に頭で考えてなくて、口でしゃべっているんですよ。頭に口があるというか、口が脳になっている感じです」。
https://www.youtube.com/watch?v=ZwX4PZu7x6A&t=290s
から1分

黒柳徹子の脳の情報処理速度は、テレビ番組のMRI検査(脳相診断)で一般の人の 10倍であると判明しています。
黒柳徹子さんの話す速度は 1分間に約 470文字で、一般の人よりも とても速いです。
明石家さんまさんは、1分間に 400〜500文字とも言われる非常に速いスピードで話す、日本を代表する早口の話し手です。
櫻坂46の 増本綺良は、普段は 意識して ゆっくり話していますが、本来は 倍速レベルのかなりの早口です。
増本綺良の絶妙な早口案内
https://www.tiktok.com/@lemino_sakamichi/video/7595003956812893447

橋ひかる × Creepy Nuts DJ松永
Posted by MMX at 2026年08月30日 12:28
>MMXさん

分速の測定は僕はあんまり信用してないんですよね。
30分連続して喋れる人があまりいないこと、
最初の数分が速くて徐々にゆっくりになること、
トーク系の人は相槌役が必要で、一方的な喋りにはなりにくいこと、
などから、
書くこととはだいぶ違うのでは?
と考えています。

少なくとも10分喋った測定かどうか、
分速からは確定できないんですよね。
Posted by おおおかとしひこ at 2026年08月30日 18:20
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック